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ホルムズ海峡の韓国貨物船爆破はイランか、米国か、それとも…?憶測広がる韓国世論
韓国船会社によると、事故は機関室左舷側で「ドン」という爆発音が発生した直後に火災が起きたもので、乗組員らが消火活動にあたった。幸い、韓国人船員6人を含む乗組員24人に怪我はなかった。
事故をめぐり、ネット上では「米国関与説」まで取り沙汰されている。その根拠として挙げられているのが、同日に奇しくも米国がペルシャ湾周辺に滞留していた民間船舶をホルムズ海峡経由で安全に航行させるため軍用機や軍艦で護衛する「プロジェクト・フリーダム」作戦を開始した点だ。
さらに、トランプ大統領が具体的証拠を示さないまま即座に「米国が護衛した船舶は攻撃を受けなかったが、韓国船は単独行動を取ったためイランの攻撃を受けた」と発言し、韓国に改めて米国主導作戦への参加を促したことも疑念を呼んでいる。
韓国国内では1964年の「トンキン湾事件」を引き合いに出す声もある。当時、北ベトナム軍による米駆逐艦攻撃を捏造し、ベトナム戦争への本格介入を進めた「前科」があるからだ。
一方で、「イラン犯行説」にも一定の説得力はある。イランが米国の護衛作戦について「停戦違反だ」と反発し、「イランの許可なく移動する船舶を攻撃する」と警告していたのは周知の事実だ。従って、今回の爆発はその緊張の中で発生したとの見方が支配的だ。仮にイランが設置した機雷による被害であった場合でも、責任はイラン側にあるという見方が出ている。
しかし、イラン側は関与を全面否定している。在韓イラン大使館は6日に声明を発表し、「イラン軍が関与したというあらゆる主張を断固拒否する」と、関与を全面否定していた。もっとも、戦時や緊張状態において、当事国が関与を否定するのは珍しいことではない。ロシア・ウクライナ戦争でも情報戦や心理戦が展開されているように事実関係が錯綜するケースは少なくない。例えば、北朝鮮工作員による全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領(当時)一行を狙った1983年の「ラングーン爆破テロ事件」や1987年の「大韓航空機爆破事件」について北朝鮮は今でも関与を否定し、韓国による「自作自演」を主張している。
それでもイラン犯行説にも疑問は残る。3月26日には在韓イラン大使が「韓国は非敵対国であり、事前協議があればホルムズ海峡の通過は可能だ」と発言していた。さらに、4月11日には趙顕(チョ・ヒョン)外相がイランに特使を派遣し、事故の2日前にもアラグチ外相と電話会談を行い、イランとの関係を重視する意向を伝えていた。加えて韓国は国際赤十字を通じてイランに50万ドルの人道支援を行っていた。こうした経緯を踏まえると、「なぜイランが韓国船を狙う必要があったのか」との疑問も浮上している。
では、イスラエルのモサド関与の可能性はどうか。イラン国内での諜報活動や要人暗殺を実行してきたとされるモサドだけに「あり得なくはない」と見る向きもある。しかし現時点で、イスラエル関与を裏付ける具体的証拠は確認されていない。
そうなると、最後に残るのは単純事故説である。機関部の過熱や設備不良による爆発の可能性だ。ただ、「ナム号」は昨年9月に就航したばかりの最新型貨物船であり、韓国では「エンジントラブルの可能性は低い」と見る専門家が少なくない。
韓国政府はすでに調査団をUAE・ドバイに派遣している。海洋水産部傘下の海洋安全審判院の調査官(3人)と、消防庁の鑑識専門家(4人)で構成されるチームが、ドバイに曳航中の「ナム号」が接岸次第、事故原因の本格調査に着手する予定だ。結果公表までには4~5日程度かかる見通しとされる。
今回の事故は、韓国外交にも重大な影響を及ぼしかねない。仮にイランによる攻撃と認定されれば、韓国が今後トランプ政権の護衛作戦参加要請を拒否することは難しくなる。トランプ政権はイラン対応で協力に消極的だった欧州諸国に対し、米軍削減や関税措置などの圧力をかけた経緯があり、韓国政府内でも警戒感が広がっている。
逆に、「イラン関与なし」と結論づければ、トランプ大統領の主張を否定する形となり、米韓関係への影響は避けられない。
戦争終結に向けた米国とイランの合意が近いとされる中、韓国政府がどのような結論を下すのか、国際社会が注視している。
辺真一 コリア・レポート編集長 5/7(木) 16:02
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/eb2ff5615c86c0b87bcf656eca9646111c1c0811



