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【中央日報】自負心にあふれた国がこの状況になった根本原因…大韓民国を縛ってきた3つの罠
その最初は「改革忌避の罠」だ。政治家、特に大統領が無限の権力を行使してきた国だった。政権を握ればその力を楽しもうとする。国のガバナンスや政策・制度の改革を推進するにはパワーみなぎる執権初期でなければならなかった。しかしすぐに近づく選挙がちらつく。当代政権に及ぼす大きな苦境が恐ろしくその機会を握りしめることができないのが最近の政権の終始一貫した習性だ。5月の大統領選挙の可能性に「味方」の労組の顔色をうかがわなければならないため「週52時間制例外」を拒否するのが民主党だ。政権が目の前にあるかのように見えれば「帝王的大統領解消改憲」には目も合わせないよう知らんぷりだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権も国民年金改革を総選挙後にそっと持ち越し、1日に885億ウォンずつ後代への負担が積もっていく罠にかかりうめいている。いつからか金泳三(金融実名制、ハナ会清算)、金大中(企業構造調整、基礎生活保障制、医療保険統合)、盧武鉉(韓米FTA)流の決断と治積が消えた国だ。
決して手放したくない権力の本能はわかる。既得権を差し出させるような改革は常に大きな抵抗にぶつかる。圧倒的勝利で執権したカナダ保守党のマルルーニ元首相は慢性的財政赤字を打開しようと全業種に付加価値税を拡大した。しかし2年後の総選挙で169議席だった議席は2議席と壊滅しなければならなかった。日本もやはり2012年の第2次安倍内閣まで国の負債打開に向けた消費税導入と引き上げは例外なく政権崩壊につながった。安倍氏もやはり2019年に消費税を10%に引き上げて支持率が急落、翌年辞任する一因となった。失業手当て縮小と労働市場柔軟化(アジェンダ2010)改革を推進したドイツ社民党のシュレーダー元首相もやはり友軍だった労組の反発の中でキリスト民主党のメルケル氏に政権を渡さなければならなかった。
「改革のアイコン」だったサッチャー元英首相も11年半の任期中「労働者の苦痛に鈍感な新自由主義の魔女」という不満と抵抗に苦しめられた。彼女が死去した2013年4月には映画『オズの魔法使い』の挿入曲である『Ding Dong! The Witch Is Dead(魔女は死んだ)』が突然英国の音楽チャート2位に上がるほどだった…。自分の政派・陣営の利益延長だけを試みる政治家がもちろん絶対多数だ。しかし各自が生き残りを図る新たな国際秩序でいまは国の未来と後代に向けた改革の決断を下せる大きな政治家が必要な時代だ。後代の尊敬と手本になる改革のリーダーシップが次期指導者を選ぶ一番上のものさしでなければならない。
また別の悪習は「縁故と後見主義の罠」だ。「兄貴分と弟分」「親分と子分」「先輩と後輩」の文化だ。警察署に捕まった不良税関職員のチェ・イクヒョン(チェ・ミンシク)が「おれはお前らの署長と一緒にめしも食って、サウナにも行って、なんでもやった」(映画『悪いやつら』)と主張する理由だ。大統領選挙直前に釜山(プサン)のふぐ料理店で官権選挙を決議した釜山・慶尚道出身の法務部長官・機関長の「おれたちが他人なのか」だ。服従・忠誠と人事・利権を交換をするということだ。大慨は請託・閉鎖・特恵・情実につながり、公正・多元化・機会・効率の普遍的価値とは逆だ。
憲法裁の審理では尹大統領の高校時代の先輩と後輩の関係である金竜顕(キム・ヨンヒョン)・李祥敏(イ・サンミン)・呂寅兄(ヨ・ソンヒョン)が「大統領保護のため口裏を合わせる証言をしている」という指摘が出た。非常戒厳も結局縁故・後見主義の帰結ではないか。大統領・最大野党代表から「兄貴分と弟分」の人事・公認で一貫しており、いったい韓国社会は何を学んでついてきたのだろうか。だから区長が変われば町内のバドミントン会長まで変わる。
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チェ・フン/論説委員
中央日報日本語版2025.02.25 17:19
https://japanese.joins.com/JArticle/330364