会見で永田会長は「日本の人材を育て、科学技術を発展させることに責務を感じているが、光熱費や物価の高騰で十分な予算を捻出するのがかなり厳しい」と述べた。
声明は、教職員の人件費や研究費に充てる国からの運営費交付金が減額されたうえ、近年の光熱費や物価の高騰などで実質的に収入が目減りし、各国立大が危機的な財務状況に陥っていると指摘。
それでも質の高い教育研究活動を維持・向上しようと自力で収入を増やすなどの努力を続けてきたが、「もう限界です」と訴えている。
そのうえで、今後も、博士などの高度人材の養成をさらに進め、社会人や女性、外国人など多様な人材を受け入れるなどして、国全体の「知のレベル」を上げ、地域社会とグローバル社会を牽引(けんいん)すると表明。国民に向けて、国立大の危機的な財務状況を改善するために「理解と共感、そして力強い協働をお願いする」と求めている。
永田会長は「運営費交付金の増額を(国民に)後押ししてもらいたい」とした。
■光熱費・物価高騰で支出増、学費値上げ検討の大学も
国大協がこのタイミングで声明を出した背景には、6月中にも閣議決定される政府の「骨太の方針」や、文部科学省による8月の来年度政府予算案の概算要求に、運営費交付金の増額を盛り込むよう訴える狙いがある。
また、厳しい財務状況を多くの国民に理解してもらい、中長期的に国立大が安定した予算を確保できるように、世論を喚起することもめざしている。