日刊ゲンダイは紀成会が収支報告書を訂正・追記した際、添付した領収書を情報公開で入手。2021~22年分では「政治活動費」のうち「交際費」に「贈答品代」を新たに付け加え、うち計5件、総額45万6030円を「酒代」に浪費していた。
領収書で判明したのは、1本あたりの金額のデカさと世耕氏の「高級シャンパン好き」だ。例えば、21年6月10日には「ルイ・ロデレール」(3万7800円)、「ドンペリニヨン」(2万2480円)、「クリュッグ」(2万9800円)と、いずれも高級シャンパン計3本を買い求め、締めて9万80円の会計を現金で支払っていた。
翌22年はコロナ禍が収まったためか、出費が跳ね上がる。1月25日にワイン4本に14万9600円を支出。8月25日には1本5万4700円もする高級シャンパン「クリュッグ・ロゼ」を3本購入し、「ワインギフトバッグ」3枚をつけて計16万4820円を現金で支払った。
週末のクリスマスに…
豪快な買い物だが、原資は裏金だ。しかも、いずれの領収書にも宛名の記入がなく、本当に紀成会が使用したのかは証明できない。世耕氏のプライベートな支出を同会に振り替えた場合、新たに政治資金規正法違反(虚偽記載)の疑いが生じる。
すこぶる怪しいのが、21年12月24日の支出だ。領収書によると、国会にほど近い家電量販店の酒売り場で午後3時51分に「ドンペリニヨン」1本を購入。2万3480円を現金で支払った。同年のクリスマスイブは金曜日だった。週末のイブ、誰にドンペリを贈ったのか。ひょっとして世耕本人が誰かとグラスを傾け、裏金が「泡」と消えたのか──。世耕事務所に贈答品の贈り先などを示すよう求めたが、期日までに回答はなかった。
「ドンペリ贈呈は『政治活動』とは一般には考えられません。仮に選挙区内の有権者に贈っていれば公選法違反罪に問われます。政治資金規正法の改正を議論する以前の問題で、国民の金銭感覚と大きくかけ離れています。『政治にはカネがかかる』と言いながら、政党交付金や企業・団体献金、政治資金パーティー収入などを得て、カネが有り余っているから、こんなムダ遣いの余裕が生まれる。法改正で献金やパーティーなど『入り』を厳格に正さなければ、非常識な支出はなくなりません」(裏金事件を刑事告発した神戸学院大教授・上脇博之氏)
■国産ワインの保護と振興はどうした?
ちなみに、世耕氏は国産ワインの保護・振興を目指す「ワイン法制に関する勉強会」の代表だ。そのクセ、裏金で購入するのは海外産の高級シャンパンばかり。とことん、信用の置けない「裏金ドンペリおじさん」である。