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日本の約10倍「毎年約2万人」が韓国籍を放棄して海外脱出…韓国の将来に絶望する人が増えている理由
■毎年2万人が韓国籍を捨てている
昨年3月20日、韓国の有力紙「中央日報」が「年間2万人が国籍放棄」と報じ、話題になった。
記事では、12年から22年の間に韓国籍を喪失・離脱した人が26万2305人に上るという韓国法務部の統計を紹介している。毎年約2万人が韓国籍を手放している計算だ。
日本で国籍を喪失・離脱した人は、13年から22年の10年間で計約2万人。韓国人が国籍を手放すペースは日本の約10倍だ。
韓国の人口が日本の半分以下であることを考えると、社会に与える影響はより大きいと言えるだろう。
同記事ではかつてと比べ希望がなくなった韓国を表す「ヘル朝鮮」という言葉も紹介している。
韓国では様々な理由から少子化が進んでおり、23年の合計特殊出生率は0.72人と、OECD加盟国で唯一、1を割った。
日本の22年の合計特殊出生率が1.26人と、過去最低を記録したが、それと比べても韓国の出生率の低さは際立っており、深刻な状況と言える。
■韓国人の1割強が国外で生活
出生率低下の大きな要因として挙げられるのは「将来への不安」だ。
自分のキャリアや国に希望が持てなければ、出産や子育てなどへのモチベーションなどわくべくもない。
そんな中、韓国での人生をあきらめ、国外へ脱出する動きが見られるという。
韓国国民の1割強、約730万人もの人が国外で生活するなど、海外就職・移住がメジャーな選択肢となりつつある。
これまでは米国や日本、カナダと言った先進国でのキャリア形成を目指すことが多かった韓国人だが、近年ではインドネシアやベトナムなど東南アジアで活路を見出そうというケースも増えているという。
■有効求人倍率は0.6倍、「40代でクビ」も普通…
現地国籍を取得して海外で活躍するキム氏が尊敬を集めるのは、裏返せば、韓国の将来に希望が持てない韓国人が増えている、と言うことでもある。韓国の有効求人倍率は0.6倍程度と、かなり低水準で推移している。人手不足の日本とは対照的な状況だ。
韓国では大企業と中小企業との賃金格差が大きく、大企業に応募が集中するという問題もある。運よく大企業に就職できても、その後の競争は激しく、40代でクビを切られることも普通にある。
韓国社会の競争の苛烈さを見れば、韓国人が「ヘル朝鮮」と自虐するのも当然と頷ける。
■インドネシアに活路を求める
そんな競争社会を離れて、今後も経済成長が続くと予想されるインドネシアに活路を求める韓国人が増えているという。
韓国統計庁のデータによると、韓国の4年制大学の就職率は過去数年6~7割程度。高学歴でも約3割が就職できないという。
「ソウルで働けるなら働きたいですが、まともな生活ができるのはほんの一部。インドネシアはムスリムがマジョリティで、住みやすい国かといえば微妙な部分はありますが、生活コストが安く、ソウルの競争の激しさに比べたらインドネシアの方がまだマシ」
■リストラされたらチキン屋をやるしかない
韓国ではリストラが珍しくないため、「起承転結」をもじった「起承転チキン」という言葉さえある。つまり、それまでどんなキャリアを積もうとも、最終的にはリストラされてチキン屋をやるしかない、と言う自虐的なジョークだ。
韓国人の海外進出によって、韓国の少子高齢化はますます加速しそうだ。
「子供が生まれたら韓国での激しい競争に直面することになる。韓国人として生まれれば、韓国における競争や勝ち組至上主義の価値観からは逃れられないが、自分の子供にはそんな経験をさせたくない」
■海外に出たくて出ているわけではない
「正直、韓国人で海外で本当に働きたい人って当たり前ですけど少数だと思います。私はまだ大学に行けて海外留学もできているだけいいですが、それでも厳しい。在外同胞庁などの支援策はありがたいんですが、韓国政府には経済をよくして韓国本土で職が得られるような状況を作って欲しいです」
韓国政府は2006年以降、少子化対策に約31兆円をつぎ込んだが、それでも少子化が止まる気配はない。KPOPや韓国ドラマの成功で一見華やかに見える韓国社会だが、その恩恵を受けられる人はそう多くはない。インドネシアでの取材からはそうした韓国社会の厳しさが垣間見えた。
竹谷 栄哉(たけや・えいや)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a21a8f503c6c3a79c0ce4e8596e32c9d9f1b5f32?page=1