・中国から脱出してアメリカに移住するのが中国人の夢
ーここまで前略ー
・なぜ日本に来ないでアメリカなのか?
日本人がこのニュースを聞いて、当然持つ疑問は、なぜこれほどの危険を犯して、アメリカを選ぶのか、
なぜ日本に来ないのか? ということだ。
日経の記事では、この質問が亡命者に投げかけられているが、それに対する答えは、
「日本は中国にあまり好意的でないから」というものだ。
確かにそうなのかもしれないが、日本人はこの答えを聞き流すのではなく、真剣に捉えるべきではあるまいか?
なぜなら、日本は深刻な人手不足に悩んでいるからだ。
・中国から日本への外国人労働者は減っている
国連の統計で移民の出生地を見ると、最大のインドは、約1800万人。2位がメキシコ(1200万人)で、3位が中国(1100万人)だ
(国際連合、プレスリリース 19-081-J 2019年09月18日)。
受け入れ国は、アメリカが全世界の国際移民の19%である5100万人を受け入れている。
第2位と第3位はドイツとサウジアラビア(それぞれ1300万人)。
外国人労働者を見ると、中国から日本への移動は減っている。
厚生労働省『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』によれば、2023年10月末の状況は、つぎのとおり。
外国人労働者数は 204.9万 人で、前年比 22.6万人の増加。対前年増加率は 12.4 %と、前年の 5.5 %から 6.9 ポイント上昇。
国籍別では、ベトナムが最も多く 51.8万4 人(外国人労働者数全体の25.3%)、次いで中国 40.0万人(19.4%)、
フィリピン 22.7万 人(11.1%)。
2022年では中国が最多だったので、ベトナムとの順位が逆転したことになる。
・人手不足で訪問介護が崩壊寸前
日本でなぜ外国人労働者が必要かと言えば、人口高齢化のために、労働力が減るからだ。
外国人からの労働者は、これに対する大きな助けになる。
人手不足がとくに深刻なのは、介護人材だ。訪問介護では、有効求人倍率は15を超えている。
厚生労働省の分析によると、2022年には、介護分野からの離職者が入職者を約6万3000人上回り、就労者が前年より1.6%減少した。
岸田文雄内閣は、2021年に介護職員の月収を平均9000円上げた。それにもかかわらず、他の業種で賃上げが行なわれたために、
転職者が増えたのだ。
こうした事態に対処するために、介護保険サービスの介護報酬が、2024年度から全体で1.59%引き上げられることとなった。
しかし、信じられないことに、訪問介護、定期巡回・随時対応訪問介護看護、
夜間対応型訪問介護の3サービスの基本報酬は引き下げられる。訪問介護の引き下げ率は2%強だ。
いまでも訪問介護の有効求人倍率は15倍を超えるほど人手不足が深刻なのに、報酬を切り下げられてしまっては、
在宅介護は破綻してしまうだろう。
訪問介護事業所の収支が黒字だから切り下げるというのだが、実際には、
人材を確保できないために人件費が減ったのが黒字の原因といわれる、23年には67件が倒産している。
現場は危機的な状態で、人手不足のため、訪問介護の要請を断らざるをえない場合が続出しているという。
日本の介護は、在宅介護を中心とするという基本方針であったはずだ。
しかし、実際には、訪問看護は、すでに崩壊寸前まで追い詰められている。
この状態を何とか解決しなければならないのだが、中国からの人材を増やすというのは強力な手段になるはずだ。
これは、いますぐにでも、日本が決断すればできることだ。
・それなのに日本は訪問介護人材の永住を認めない