あわせて読みたい
ヤクルト・奥川恭伸 津波警報が鳴る中、高台まで逃げた…帰省中に石川・かほく市で被災 「能登半島地震」の恐怖語る
ヤクルト・奥川恭伸
ヤクルト・奥川恭伸投手(22)が7日、埼玉・戸田市内の球団施設で自主トレーニングを行った。故郷の石川・かほく市に帰省していた元日に発生した能登半島地震に遭い、高台に避難したことを明かした。右肘痛を乗り越え完全復活を目指すシーズン。星稜高時代に2019年夏の甲子園大会でチームを準優勝に導いた地元のヒーローが、再び神宮のマウンドで輝き、復興の光となる。
■「道路が浮き上がったり、沈んだり」
完全復活への思いを強くした。石川・かほく市出身の奥川は帰省していた元日、能登半島地震に遭った。不安な毎日を過ごす被災者の心に寄り添うように決意した。
「身近なところで起きた震災。自分も逃げるなどの経験をし、何かできることはないかとすごく考えた。一番は僕も含めて石川県出身の選手が活躍する姿を見せること。今年はより頑張ろうという気持ちが強くなった」
1日午後4時6分。奥川は実家近くの親戚宅で地震に見舞われた。「居間に(親戚が)集まっているときでした」。能登半島の付け根に位置するかほく市の震度は5強。津波警報が鳴り、建物を飛び出し、近くの高台まで逃げ出した。自宅や家族は無事だったが、「道路が浮き上がったり、沈んだり。電柱も傾いていた。怖さはあった」。目の前に広がる悲惨な光景に胸を痛めた。
「僕らのところもこんなに被害が出るんだと。もっと大変な地域もあるので、みんな無事だっただけでもよかった」
■今季は「絶対に投げたい」…故郷に勇気を
右肘痛の影響もあり、1軍での登板は2022年3月29日の巨人戦を最後に遠ざかるが、「この2年間、僕が投げていなくても石川県の方々から温かい声援をもらっていた」。星稜高時代の19年夏にチームを甲子園準優勝に導いた地元のヒーロー。苦しい時期に、故郷から届く声が力をくれた。だからこそ今季にかける思いも強い。
「絶対に投げたい、投げて活躍したいという思いがより一層強くなった。今度は僕がいっぱい元気を届けられるように」。いまも石川県では断続的に地震が発生している。ふるさとを思い、マウンドに上がる。(武田千怜)
■石川県かほく市
かほく市は能登半島の付け根にあり、金沢市から北東約20キロに位置する。2004年に宇ノ気町、七塚町、高松町が合併して誕生。西に日本海を望み、山地、丘陵地もある。スイカやブドウ、長いも、海の幸などが特産品。面積は64・44キロ平方メートル。人口は3万4889人(20年時点)。