ホテルヴィスキオ富山(同)でも今週末の法人出張や家族連れのキャンセルが増えた。昨年の新型コロナウイルス5類移行、3月の北陸新幹線敦賀延伸など旅行需要増の追い風が吹いていただけに、ヴィスキオ富山運営部の青木潤一課長は「想定外の事態」と語った。
庄川温泉郷の「鳥越の宿 三楽園」(砺波市)は、ほぼ満室だった6~8日の予約のうち、約3割がキャンセルとなった。坂井彦就(ひこなり)社長は「庄川温泉郷の被害は軽微だが、北陸全体の宿泊施設が被害を受けていると誤解されることが心配」と表情を曇らせた。
黒部市宇奈月温泉は旅館・ホテルへの被害は少なく、休まず営業している。ただ地震発生以降、キャンセルが相次ぐ。「黒部・宇奈月温泉 桃源」では余震などを理由に約130人が宿泊を取りやめた。「お酒のお宿 喜泉」でも、6日からの3連休を含め1月のキャンセルは増えている。桃源の石田唯一(ただかず)社長は「こればかりはどうにもならない。風評が収まり、お客が戻ってくれることを願う」と話す。5日は休館日だったが、従業員や業者が片付けや水漏れの修理に取り組んだ。
コロナ禍に伴う行動制限が緩和され、旅行需要は回復途上だった。県ホテル・旅館生活衛生同業組合の担当者は「冷や水を浴びせた格好」とため息をつく。被害を受けた組合員からは、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済に加え、復旧費用が重荷となり、今後の経営を不安視する声が聞かれるという。