飲酒による日本の年間死亡者数は3万5000人にのぼっており、肉体への悪影響は明らかだ。
※略
● アルコールで年間 300万人が死んでいる
今、この記事を読んでいるあなたは、自分のお酒の飲み方に何らかの不安や心配を持っているのだと思います。
「最近、どうも飲み過ぎている気がする」
「そういえば、休肝日が作りにくくなった」
「飲み過ぎて、ときどき記憶をなくすことがある」
このような経験があり、心配になっているのではありませんか?
2018年のWHO(世界保健機関)の報告によると、「アルコールの有害な使用による世界の死者数」は、2016年には約300万人にのぼります。
これは糖尿病、結核、エイズによる死者数よりも多い数字で、世界中の全死者数の5.3%に当たります。
飲酒は、日本でも深刻な問題です。
2018年に厚生労働省が発表した推計によると、飲酒による日本の年間死亡者は約3万5000人にのぼります。
近年問題になっている自殺者の数を、はるかに上回る数字です。
「何となく体に悪い」と分かっていても、やめられないのがお酒の怖さです。
お酒は、強力な依存性薬物のひとつです。
依存性薬物は、「精神作用物質」とも呼ばれ、脳に直接働きかけて快感を引き起こします。
お酒によって得られた快感は脳に記憶され、判断力を鈍らせるのです。
「お酒で害があることは分かっているが、自分はそれほどひどくない」
「接待の席でお酒を飲まないと、取引先に失礼になるから仕方がない」
「明日の仕事をがんばるために、お酒を飲んでぐっすり眠らなければ」
このような言い訳をして、多くの人は無意識にお酒にしがみついています。
気づかないうちに、お酒にマインドコントロールされているのです。
お酒は、害があることは分かっていても減らせない、依存性のある物質なのです。飲む人であれば誰でも、お酒に依存してしまう可能性があることを忘れないでください。
※略
● 酒を減らしたら楽しいことが なくなってしまうと思い込む
お酒は強力な依存性薬物なので、他のことよりも最優先になる性質を持っています。
図「アルコール依存の進行」を見てください。図の上のように、本来、人間にとって重要なのは、家族と暮らす幸せ、健康の喜び、仕事の生きがい、趣味の楽しみなどでしょう。
お酒は、人生の主役ではなく、脇役に過ぎません。家族や仕事や趣味がメイン料理や主食だとしたら、お酒は、そこに彩りを与えるスパイスのような存在です。
しかし習慣的に飲酒をしているうちにその優先度が増し、いつしか家族や仕事や趣味は隅へと追いやられてしまいます。
お酒によってマインドコントロールされている脳は、それに気づきません。論理的に考えているように見えて、実はお酒中心の歪んだ思考になっていきます。
アルコール依存が進行するにつれ、「飲酒による損益収支表」は、図「依存が進んだ場合の損益収支表」のように見えてきます。
次第に「飲酒による利益」や「断酒/減酒による損害」しか見えなくなるのです。
「お酒をやめるなんて、できるわけがない」「お酒を減らしたら楽しいことが何もなくなってしまう」などと考えるようになり、無意識にお酒にしがみつくようになります。
逆に、「飲酒による損害」は見えません。
健康への害、家族の心労、仕事への影響は大きくなるものの、依存が進行するにつれ、「大した問題ではない」と思うようになります。
「減酒/断酒による利益」についても同様です。世の中にはお酒以外の楽しいことがたくさんあるはずなのに、お酒漬けの脳には想像がつきません。
アルコールの作用により、知らぬ間に人生の価値観が歪んでいるのです。
このように考えると、正確で客観的な「飲酒による損益収支表」を書くことこそ、減酒を続ける基礎になります。
最初はうまく書けないかもしれませんが、それでもよいのです。
減酒を続けるうちに、今までは考えもしなかった「飲酒による損害」「減酒/断酒による利益」の空欄が、次第に埋まっていくはずです。
★1:2023/12/31(日) 17:10:14.68
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