今オフも将来的なMLB移籍を志願したとされる選手が多数現れている。西武・高橋光成投手、ヤクルト・高橋奎二投手、ソフトバンク・大関友久投手、広島・森下暢仁投手、ロッテ・佐々木朗希投手…。既にヤクルト・村上宗隆内野手は球団から2025年オフのポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を容認されているが、阪神OBの中田良弘氏は契約更改交渉後などに憧れを口にする選手の多さに疑問を感じている。
「なんか勘違いしてるんじゃないかなというのが一番。権利を持ってないのなら、山本由伸のように日本で断トツの成績を残さないと。この選手ならメジャーで通用するんじゃないか、メジャーで見てみたいなとファンに快く送り出してもらえるようにならないとね」と持論を展開した。
続けて「大谷や山本由伸の契約に関する報道などを見てると、日本とは比べものにならない金額だし、個人事業主であるプロ野球選手として、そこに魅力を感じたり、元々憧れていた舞台に挑戦したい気持ちを表すのは不思議ではないけど、筋が違うかなという印象だね」と口にした。
現在、国内FA権を取得するためには、1軍登録日数8年(大学、社会人卒は7年)、海外FA権を取得するためには同9年が必要になっている。パドレスとの複数年契約が合意間近とされている松井裕樹は海外FA権を行使し、ヤンキース、メッツ、ドジャースなどが獲得に名乗りを上げている山本由伸は、オリックスがポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を容認した形となっている。
各選手のこれまでの成績を書き出してみる。
西武・高橋光成 在籍9年 通算157試合65勝57敗 防御率3・41
ヤクルト・高橋奎二 在籍8年 通算84試合22勝22敗 防御率3・96
ソフトバンク・大関友久 在籍4年 通算50試合12勝13敗 防御率2・87
広島・森下暢仁 在籍4年 通算89試合37勝24敗 防御率2・82
ロッテ・佐々木朗希 在籍4年 通算46試合19勝10敗 防御率2・00
ヤクルト・村上宗隆 在籍6年 通算693試合 打率・276、191本塁打、514打点
かつて阪神・井川慶投手がポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を希望した際、中日・落合博満監督は「希望はあくまで個人の希望。FA権を持ってないのにメジャーに行きたいというのなら、まずは契約金を返してから言え!っていう話だと思うよ」と持論を展開していた。
希望や憧れを声にするのは選手の自由。ただ、必要戦力と考える球団が「NO」とはね返すのは当然の主張。選手会は海外FA権を得るための9年という期間短縮を働きかけているが、そう簡単にまとまる話でもない。球団とファンが納得し、気持ちよく送り出してくれる成績を残すことが、夢を叶えるための何よりの近道ではないかと思う。