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【韓国】またひっくり返った慰安婦判決…韓国裁判所、今度は「強制執行は適法」
ソウル中央地方法院民事第34部(裁判長キム・ジョンゴン)は今年1月、ペさんらが出した損害賠償訴訟で、日本に対して原告に各1億ウォン(約984万円)を賠償するよう命じる判決を下した。この判決は日本政府が控訴せず、そのまま確定し、ペさんらは強制執行のために裁判所に「財産明示申請」を出した。財産明示申請は、確定判決に基づいて強制執行を開始するとき債務者(日本政府)の財産目録を確認することを裁判所に要請することだ。
ナム判事は決定文で、日本に対して財産明示を決定し、今回の強制執行申請が適法どうかについても職権で判断した。ナム判事は外交的問題は司法府が判断で考慮する事項ではないとの前提を明らかにした。ナム判事は「確定判決により、日本国に対する強制執行実施以降に発生する対日関係の悪化や経済報復など国家間の緊張発生問題は外交権を管轄する政府の固有領域で、司法府の領域からは外れることなので、強制執行申請が適法かどうかを判断するにあたり考慮事項から除外して法理的判断を行うべきだ」と決定文に書いた。
あわせて慰安婦被害者の損害賠償請求権が消滅したのか、この事件に国際法上国家免除が適用されるかどうかを問うた。この2つの争点は本案訴訟でも核心的に扱われた争点だ。
ナム判事は「強制動員労働者の日本企業に対する慰謝料請求権は韓日請求権協定に含まれないので訴訟を起こすことができると判断した大法院全員合議体判決があり、これを慰安婦被害者の請求権と違うものとみることができない」と判断した。慰安婦被害者の日本政府に対する損害賠償請求や強制執行申請が、外交関係に対するウィーン条約を違反したのでもないとした。
ナム判事はこの事件が国家免除の例外に該当すると判断し、強制執行申請が適法だという結論を出した。国家によって強行された重大な人権侵害行為に対して国家免除を認めることは、かえって国際社会共同の利益を脅かし、国家免除理論は恒久的な価値ではないという判断からだ。
今回の決定文で明示された韓日請求権協定と損害賠償請求権が消滅しているかどうか、また国家免除例外を認めるかどうかの判断は、過去6カ月の間に裁判所で何度もひっくり返った。慰安婦被害女性の1・2次訴訟は、ソウル中央地方法院だけで、慰安婦被害者は損害賠償を受けることができるという1次判決(1月)以降、強制執行は不適切で訴訟費用は日本から受け取ることはできないという決定(3月)、国家免除により日本政府に対して損害賠償請求は許容できないという2次判決(4月)、そして強制執行は適法と判断して日本に対して財産を明示するよう命じる今回の決定まで、判決の主要趣旨が2度も正反対に覆った。