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【万博】「健闘を祈る」という意味の「韓国の立候補を支持する」など外交的修辞を「韓国支持国」に含めて計算
必ずやり遂げなければいけないという圧迫感と切実感が結局、国民に対する「希望拷問」につながった。28日(現地時間)に「惨敗」に近い成績で終わった国際博覧会(万博)開催地投票の結果のことだ。
内部事情をよく知る政府関係者は30日、「万博誘致がいわゆる『VIP(大統領)関心事項』となり、ある時点から万博誘致活動は大統領から能力を認められるための『欲望の場』に変質した」と振り返った。これは結局、冷静な状況判断でなく期待を膨らませる「バラ色のシナリオ」が乱舞する結果につながった。
◆成功に対する圧迫感が「誇張報告」に
尹大統領が6月、フランス・パリで開かれたPT(プレゼンテーション)で自ら演壇に立って以降、必ず勝たなければいけないという圧迫感がさらに強まった。実際、このPTが終わって以降、官民合同誘致委員会と各政府部処では「サウジを支持した多くの国の票が韓国支持に旋回した」というような報告が続いた。
7、8月ごろには大統領に報告する文書に「サウジとの票差が20票以内に縮まった」という内容までが入ったという。この頃から「サウジが1次投票で3分の2(122票)以上の得票に届かず、2次投票で韓国がイタリア(開催候補地ローマ)の票を吸収する場合、勝利することができる」という話が本格的に出始めた。投票日が近づくと大統領室未来戦略企画官室を中心に「サウジとわずか10票差」という報告書も作成された。切実な思いが「希望を込めた数値」を信じさせたのだ。
◆尹大統領「予測が大きく外れた」 なぜ?
しかしこうした予測は結果的に「虚偽報告」となった。尹大統領が29日の国民向け談話で「予測が大きく外れたようだ」と述べた背景だ。
複数の消息筋によると、これは韓国に有利な仮定的状況が連続で生じてこそ達成可能なシナリオを我田引水式に分析した結果だったという。「健闘を祈る」という程度の意味の「韓国の立候補を支持する」など外交的修辞を述べた加盟国までも「韓国支持国」に含めて計算したということだ。
こうした過程で冷静な分析はむしろ「情熱不足」と罵倒された。朴振(パク・ジン)外交部長官を含む各級でBIE加盟国を接触してきた外交部は「近接した」という表現を使うのは良くないとして楽観論を警戒したが、大統領室の一部では「敗北主義に染まっている」という趣旨の反応が出ていたという。
◆誇張報告にサウジ「戦略分析」失敗まで
想像以上だったサウジの選挙戦略も状況分析失敗の原因に挙げられる。万博のような国際投票戦は実際、競争のルール自体が存在しないようなものだ。万博誘致戦で惨敗した後「オイルマネー」に否定的な見方も出てきたが、実際このような選挙戦では各国が自ら容認できるレベルであらゆる手段を動員する。ある情報筋は「我々は『刀剣の戦いに銃を取り出した』というが、相手は『銃撃戦でなぜ刀剣を持つのか』とも考えるのが国際投票戦」と伝えた。
実際、サウジは韓国への支持を表明した国を相手に「韓国が約束したものより大きな支援をする」として票を奪う戦略に出てきた。韓国が行けばサウジが再び訪問し、より大きなプレゼントを約束した。投票に参加するパリ現地の代表らを韓国が引き込もうとすると、サウジは投票当日にパリ市内のホテル2、3カ所を借りて一部のBIE加盟本国の長官・次官級を宿泊させるなど最後まで徹底的に票集めに注力した。もちろんパリまで来る航空費もサウジが負担したという。
実際の投票では10票ほどが棄権票と分析されたが、その多くが韓国支持国と政府は見ている。これもサウジが動いた結果である可能性が高い。書面で韓国支持を約束した国の中からも離脱票が出てきたという。
中央日報日本語版2023.12.01 09:49
https://japanese.joins.com/JArticle/312161?servcode=200§code=210
「外交的修辞」まで韓国票に計算…切実感が呼んだ「万博誘致」錯視(1)
https://japanese.joins.com/JArticle/312162