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名字の違う姉妹に教室はざわついた…「夫婦別姓」家庭の子どもたち
約20年前にどちらも姓を変えないために事実婚を選んだ夫婦がいる。長女のモモさん(大学2年・仮名)は母の姓、次女のミナさん(高校1年・仮名)は父の姓だ。
「夫婦別姓」の家庭で育ったことを子どもはどう受け止めているのか、本音を聞いた。(文・黒澤真紀、写真・本人提供)
●「姉妹なのになんで名字が違うの?」
小学校時代のある日、妹・ミナさんが姉・モモさんの教室に用事があってきた。
恥ずかしがり屋のミナさんの代わりに友達が言った。「○○さん(ミナさんの姓)のお姉ちゃん、いますか?」。「○○? うちのクラスにはいないよ」とクラスがざわつく。
姉妹なのに苗字が違う理由を、当時のモモさんは知らなかった。周囲に何か思われるのではないかと
ボランティアや保護者会に父が来ることも複雑な思いになり、「学校へはなるべくお母さんが来てほしい」(モモさん)と思っていたという
モモさんは小学生になって、父と妹と名字が違うことを「普通じゃないんだ」と認識するようになったという。
母は「モモから、なんでって聞かれたことは何度かあったように思います。
でも、まだそんなに理解できないんじゃないかなと思って、時機を見て話そうと思っていた」と振り返る。
●事実婚と知り姉号泣「悔しかった」
モモさんの中学入学を控えた春にその時が来た。中学受験を終え、「なんとなくゆったりした気分だったので、今、話そうと思った」
母から姉妹に「お母さんは名前を変えたくなかった。お父さんも変えたくなかった。でも、今の日本では結婚してどちらも(姓を)変えないということはできないから
私たちは籍を入れていない」、事実婚であることが告げられた。
モモさんはそれを聞いてもすぐには理解できず、驚きで声が出なかった。「籍を入れていないなんて思ってもみなかった。他の家族とは違う」。
心に染み込んでくる事実に声をあげて泣いた。そして、「どうしてそのことを今まで言ってくれなかったの」と。知っていたら
家族の名字が違う理由を友達にもきちんと説明できたのにという悔しさからだった。
【中略】
●理由知った姉「今はひけめ感じない」
モモさんは中学、高校時代を過ごすうちに、両親の選択を前向きに受け止めるようになった。
母の告知以来、周囲に別性の理由を聞かれてもきちんと説明することができるようになり、「ひけめ」を感じることもなくなった。
【中略】
高校2年生からはヨーロッパに留学し、今もヨーロッパの大学で学ぶ。海外で結婚や同姓について多様な価値観に触れた。
「自分の両親が結婚や家族の多様性を促す、ムーブメントの一部であることを、今はすごく良いことだなと考えているので
(将来、夫婦別姓制度が法制化されていなければ)私も事実婚を選びたい。
でも、私は、母に話をされたとき、もっと早く知りたかったと思ったので、子どもが小さいときにそのことについて伝える」と話す。
●妹は「結婚したら、夫婦同姓を選びたい」
一方、高校生になったミナさんの考えは異なる。「私はもともと周りの人の目を気にしてしまう。
両親の名字が違うのは珍しいことだから、どう思われるか気になってずっと嫌だった」という。
「別姓家族は少ないから、周囲と違うのが恥ずかしい。今でも名字が違うことを知られるのは少し抵抗がある」と話す。
続きは高校生新聞 2023.07.03
https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/10171