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【東京新聞】韓国政府がまずできることを 双方「和解委員会」設け歴史問題協議すべき
韓国政府が1月に開いた元徴用工問題の公開討論会に出席した際、政府が検討中の解決案について「一つの解法になり得る」「日本の謝罪や基金参加を期待してはいけない」と発言して会場から猛反発を受けた。私は日本の「呼応」をこれ以上期待することはできず、韓国政府が国内の被害者を説得する局面に転換したと判断している。
徴用工の問題は慰安婦と違って1965年の韓日請求権協定で扱っており、韓国政府が自国民の問題として解決するのが原則だ。政府には65年協定を結んだ責任がある。まず自らを省察してできることをやり、その前提のもとで日本と歴史問題で和解する場を探るべきだと考えてきた。
私は文在寅ムンジェイン政権だった2019年に当時の国会議長らが提出した法案、いわゆる「文喜相ムンヒサン案」の作成に携わった。
文喜相案は、被告企業を含む韓日企業や国民から広く寄付を募って基金をつくり、強制動員の被害者に補償を行うため特別法を制定するものだ。被害者は財団に申請して審査を受け、補償を受ける代わりに訴訟の権利を放棄する。1998年に金大中キムデジュン大統領と小渕恵三首相が未来志向の関係をうたった韓日パートナーシップ宣言を踏まえ、両国民が基金に参加することで、訴訟問題を法的に解決するだけでなく、韓日が歴史問題で和解するという意味を込めた案だった。
だが当時、被害者らが「日本を免罪する案だ」と反対し、大統領府も難色を示して廃案になった。今からでも実現させてほしいと思うが、国会で与野党が激しく対立している状況では合意が不可能だ。特別法を制定するとしても来年の総選挙後になるだろう。
現政府は被告企業の債務を財団が引き受ける形で、ひとまず収拾を図ることにしたようだ。企業の寄付で財源を用意することを想定しているが、被告企業が参加しなければ、それ自体が歴史和解にはならない。被害者や野党は反対しており、文喜相案が目指した韓国内の国民統合も果たせない。文喜相案に比べれば満足できる案ではない。
とはいえ、時間がたつほどに状況は悪化するばかりだ。債務引き受けは最高裁判決によって韓日間に生じた法的問題を解決する措置にすぎないが、現状では、韓日の歴史和解を進めていくための先行的な措置だと評価したい。
両国間には徴用工以外にも多くの歴史問題がある。韓日それぞれが「和解委員会」を設け、中長期的に協議できる場をつくると良いと思う。 (聞き手=ソウル・木下大資、写真も)
2023年2月18日 19時58分 東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/231973