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【八重山日報】尖閣問題、強盗と異ならない中国の論理 県民の民意は石垣島への自衛隊配備である
27日、沖縄本島と宮古島間を通過した中国空母「遼寧」から発艦したヘリが尖閣諸島周辺上空を飛行し、空自戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。
26日には、中国自然資源省が尖閣諸島と周辺海域を独自に測量した調査報告書を発表し、地形図や画像を公開した。
中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)は同日から、交通運輸省傘下の海事局が中国領海を航行する外国船に対し、退去要求や追跡を行うことを認める法改正の審議を始めた。尖閣諸島海域に適用されれば、さらに緊張を煽ることになる。
27日からは、中国がウェブ上で独自に開設した「釣魚島(尖閣の中国名)デジタル博物館」で日本語と英語の展示を始め、尖閣を「日本が窃取した」などとアピールした。
尖閣周辺海域では中国海警局船が70日以上連続航行しており、出漁する日本漁船の安全が脅かされている。
振り返れば、中国は急速な経済成長と軍事力増強を背景に、10年ほど前から沖縄や南シナ海に対する領土的野心を隠さなくなってきた。
2012年には尖閣周辺海域への公船派遣を開始し、尖閣侵奪に向けた態勢を着々と構築した。同年の日本政府による尖閣国有化への対抗措置と称しているが、実際には日本の実効支配打破を目指し、尖閣国有化以前から水面下で計画した行動であったことが明らかになっている。
中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は、菅首相とバイデン大統領の日米首脳会談に関し「中国を封じ込める米国の戦略に日本が加わり、中日関係は改善の勢いを失った」とする社説を発表した。尖閣諸島を巡る自らの挑発行為は、日米によって引き起こされたと言いたいのだろう。
自分が意図的に尖閣情勢を悪化させておきながら、日米に責任を転嫁するのは中国の常套(じょうとう)手段である。独りよがりの論理で自国の侵略的行為を正当化し、対立をエスカレートさせる姿勢は、とても責任ある大国の姿とは言えない。
とりわけ中国の侵略的行為の矢面に立たされている八重山の住民から見れば、中国の行為は強盗と異ならない。
石垣市議会は、尖閣を行政区域とする議会として市民の声を代表し、尖閣に関してたびたび中国に抗議決議しているが、中国は一貫して無視している。元凶は平和を願う島民の心情に無理解な中国共産党政権そのものと考えざるを得ない。
尖閣諸島が中国に奪取されば、八重山のわずか百数十キロ先に独裁的な軍事超大国の勢力圏が誕生し、住民は子々孫々まで平穏な生活を脅かされる。単なる無人島の争奪戦くらいに軽く見ていい話ではないだろう。
台湾有事が起きても同じことであり、県民が「自分ごと」として尖閣や台湾の問題を考えるべき時期に来ている。県民の民意として石垣島への陸上自衛隊配備を急ぎ、海上保安庁による領海警備体制も強化すべきだ。
残念ながら、八重山から400キロ離れた沖縄本島では常に米軍基地問題の話題が先行し、尖閣問題への無関心が甚だしい。
尖閣海域では、出漁した日本漁船が中国海警局船に追尾される事態が常態化している。しかし沖縄本島からは、出漁する八重山、宮古の漁船が故意に対立を煽っていると非難する声さえ聞こえる。
県民自身が中国の術中にはまり、尖閣に出漁する日本漁船は「偽装漁船」(中国の王毅外相)とする宣伝に踊らされているようでは、尖閣を守ることは覚束ない。
4/29(木) 9:30配信 八重山日報
https://news.yahoo.co.jp/articles/bda8e29949cb6daa030e8c67e8490e3a272f1591