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【南北関係】 黄江ダムの予告なし放流…北朝鮮、いつまで続けるつもりか
記録的な大雨と梅雨が長期化した今年の夏。京畿道漣川郡(キョンギド・ヨンチョングン)・坡州市(パジュシ)など境界地域の臨津江(イムジンガン)沿いの住民の緊張感は高い。大雨が続き、川が突然増水しないかどうか心配だからだ。
臨津江上流の北朝鮮黄江(ファンガン)ダムが予告なく放流される場合、臨津江下流の韓国側の地域に水害や人命被害が懸念されるためだ。
こうしたことは北朝鮮が臨津江上流に総貯水量3億5000万トン規模の大型ダムを作った10年余り前から続いている。黄江ダムと韓国側対応ダムの漣川郡南ダム(クンナム洪水調節池、総貯水量7100万トン)の間の距離は57キロメートルで近い。軍事境界線の北側42.3キロメートルの距離にある黄江ダムで放流すれば増えた水は4時間程度で南側に至る。満潮時間と重なって下流の水が抜けない場合、漣川・坡州地域の被害が大きくなる。黄江ダムは郡南ダムの5倍の規模を持つ。郡南ダムが黄江ダムの放流に耐え切れないのはこのためだ。これまで黄江ダムの予告のない放流で漣川・坡州地域では被害が相次いだ。2009年黄江ダム無断放流で野営客6人が亡くなったほか、その後も毎年野営客の避難、漁船流失および漁具損失などの被害が発生している。2020年8月には住宅71世帯が浸水して軍事施設141カ所と河川44カ所が流失する被害が発生した。
統一部は6月28日、「梅雨期の南北境界地域の洪水被害などが憂慮される状況」としながら北側にダム放流時の事前通知を公開的に要請した。しかし北朝鮮は6月末に集中豪雨に見舞われるとまた通知のない黄江ダム放流を始めたことに続き、今夏も毎回予告をせずに黄江ダムの水門を開放した。韓国政府は北朝鮮が6月末から北朝鮮地域の降雨状況によって黄江ダムに対する放流と中断を繰り返すとみている。
南北は2009年10月、「臨津江水害防止南北実務接触」を通じて北朝鮮がダム放流時に事前通報することで合意した。この合意は2010年まで守られたが、2011年以降はほぼ無視されている。
南北が共有している河川の臨津江は北朝鮮側に川の上流がある。流域の3分の2が北朝鮮に属していて南北間のダム運用情報交換が大変重要な河川だ。こうした中、韓半島(朝鮮半島)気候環境は地球温暖化などの影響で長い梅雨と記録的な大雨が今後も繰り返される可能性が高まっている。台風も避けることができない危険要因だ。
北朝鮮当局の予告のないダム放流は「南側の被害は関係するところではない」というような無断放流と同じだ。水門開放情報を事前に教えることがそれほど難しいことなのか。北朝鮮当局は非軍事的・非政治的なイシューである災難予防に協調的姿勢を見せるべきだ。北朝鮮当局がダム放流を事前に教えるなら、膠着状態に置かれた南北関係改善にも糸口が見つけることができる。
チョン・イクジン/社会第2チーム記者
中央日報日本語版
https://news.yahoo.co.jp/articles/cd8394dee6efa1e13bea65b5de015a36822deec2