小麦価格が40%up!それでも「替え玉無料」続ける? 

小麦価格が40%up!それでも「替え玉無料」続ける? 

小麦価格が40%up!それでも「替え玉無料」続ける? 

替え玉をタダで提供しても損しない?

 豚骨ラーメンの専門店では、麺のお替わりである「替え玉」というシステムがあります。1~2玉までの替え玉を無料にしている店もありますが、中には「幾つでも替え玉無料」という店もあります。小麦価格が高騰している中、麺のお替わりを無料で提供すれば、それだけ利益を落とすことになりますが、なぜ、豚骨ラーメンの「替え玉無料」は損をしないのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

麺1玉あたり10~20円

Q.そもそも「替え玉」は、どのようなことがきっかけで誕生したのでしょうか。

成田さん「『替え玉』は、福岡の『元祖長浜屋』が起源とされています。長浜ラーメンといえば、豚骨スープストレートな細い麺が特徴ですが、魚市場の近くにあった『元祖長浜屋』では、競りなどで忙しく限られた時間で食事をしなければならない魚市場の労働者のために、すぐにゆであがる『ストレートの細麺』を開発しました。

しかし、細麺は熱いスープの中ではすぐに伸びてしまうので、最後までおいしく麺を食べてもらおうと最初の麺の量を少な目にし、追加で『替え玉』するというシステムをつくったといわれています」

Q.とんこつラーメンの「替え玉無料」を提供しても、なぜ、店側は損をしないのでしょうか。

成田さん「先述したように、伸びやすい細麺で提供する豚骨ラーメン店では、最後までおいしく麺を食べてもらうために麺の量を最初から少なくして提供します。その結果、『替え玉』をする客も多く、『替え玉無料』の店の場合、価格設定を替え玉ありきの設定にしてある場合も多いからです」

Q.「幾つでも替え玉無料」という店もあります。店側は損をしないのでしょうか。

成田さん「『幾つでも替え玉無料』とうたうのは、店側のサービス精神だと思います。文字通りであれば、5回でも10回でも替え玉は無料ということですが、現実的にそれだけの量を食べる客はまずいません。

まれに、3回以上の『替え玉』をする客もいますが、替え玉ラーメンの丼に残っているスープに入れて食べるため、回数が増えればスープが薄くなったり足りなくなったりします。また、替え玉が3回目になると、普通であればおなかも満腹に近づき、おいしく食べられる限度は、せいぜい3~4回の替え玉だと思われます。多くの客もそうしたことを分かっているのではないでしょうか」

Q.最近は1玉、あるいは2玉までなら「替え玉は無料」という店をよく見かけます。この1~2玉が、多くの店にとっての損益分岐点なのでしょうか。

成田さん「『替え玉無料』をうたう場合、多くは1~2回の『替え玉』を想定して価格設定していると思われます。また、『替え玉は無料』のラーメン店で使用されている麺の原材料の小麦は、外国産小麦を使用することが多く、外国産の小麦は広大な農地と低い生産コストなどを背景に安価で購入できます。

製法にもよりますが、麺1玉あたり10~20円ほどのコストです。経営の損益分岐点というよりも、むしろ、おいしく食べてもらうために1~2玉にしているのでしょう」

Q.ロシアウクライナ侵攻などで小麦価格の高騰が叫ばれていますが、数カ月後、「替え玉無料」がなくなる可能性がありそうでしょうか。

成田さん「数カ月後、『替え玉無料』を取りやめる豚骨ラーメン店が、増えてくる可能性はあると考えます。安価な外国産小麦は全て一度、政府の経理を通って製粉会社に流れます。政府は、外国産小麦の製粉会社への売り渡し価格を年度の上半期と下半期に分けて発表していますが、今年4月からは17.3%の引き上げをしています。

実は、昨年10月にも19%引き上げており、この1年でおよそ40%値上がりしているのです。また、ウクライナ情勢の影響や世界的な供給量不足で今年10月には、さらなる大幅値上げも確実視されています。

これまでは経営努力で値上げせずに頑張ってきた豚骨ラーメン店も多いですが、この異常なまでの急激な値上がりによって、『替え玉無料』を取りやめるだけでなく、ラーメンの値上げに踏み切る店も出てくるのではないでしょうか」

オトナンサー編集部

「替え玉」を無料で提供して損をしない?

(出典 news.nicovideo.jp)

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