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ウクライナ情勢、小麦や希少金属に波及も ロシア依存で
【米州総局=清水孝輔】緊迫するウクライナ情勢をめぐり、小麦やパラジウムといったロシアに生産を依存する物資の調達に影響が出る懸念が高まっている。ロシアがウクライナ東部の一部の独立を承認したことを受け、米国や欧州は相次ぎ制裁を発動した。ロシアが報復として輸出を制限すれば価格高騰やサプライチェーンの混乱につながりかねない。
ロシアは世界最大の小麦の輸出国で、特にエジプトやトルコなどへの輸出量が多い。ウクライナも小麦やトウモロコシの主要な輸出国だ。各国の貿易データを分析する経済複雑性観測所によると、ロシアとウクライナの小麦の輸出量は合計で2019年に世界全体の4分の1以上を占めていた。
米調査会社S&Pグローバル・プラッツで穀物市場を分析するピーター・マイヤー氏は米CNNに対し、ウクライナ情勢が市場に及ぼす影響について「ボラティリティーがあるのは間違いない」と指摘した。
パラジウムなど希少金属の調達が難しくなる懸念もある。パラジウムは自動車の排ガス浄化や携帯電話などに使われており、産出量の4割をロシアが占めている。ウクライナ情勢への懸念から1月には価格が2週間で2割超も上がった。ロシアがパラジウムの輸出を制限すれば自動車のサプライチェーンなどに影響が出かねない。
エネルギー価格には、すでに影響が出ている。ロシアへの経済制裁で需給がひっ迫する懸念が高まり、22日には原油価格が一時1バレル99ドル台まで上昇した。
(略)
日本経済新聞 2022年2月23日 6:57 (2022年2月23日 7:21更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN22EEB0S2A220C2000000/