阪神・近本　果敢に盗塁王を狙うより「中野が打って走って二、三塁になる。僕はそっちを選択しました」

　◇赤星氏－阪神・近本の新春対談（中）

　赤星　足のケガもあったことで盗塁王は獲れなかった。そこまでこだわっていないとは思っていたし、打撃のタイトルを狙えると思っていたし、実際にそうなった。

　近本　一昨年も膝裏がけっこう痛かったんで、むしろ走ることに関してはその時の方がつらかった。痛いのに（巨人の）増田さんが来てる。負けたらアカン。それに対抗できるのは僕しかいなかったので。でも昨年は同じチームの中野で新人だし…。

　赤星　確実に中野が獲ると思っていた。オレが2番打者だったら近本が走った瞬間に打つもん。

　近本　そんな性格悪いんですか（笑い）。

　赤星　ヒット打っちゃえば一、三塁じゃん。オレがやってたことを、中野がやってた（笑い）。だから、中野は獲るだろうな、って。近本が3番で中野が1番だったらあるかなと思ってたけど、1、2で並びはじめたときに、“はい今年は中野が獲ります”って思ったよ（笑い）。

　近本　前半戦は後ろ（2番）が糸原さんだったので、すぐに20までは行って、30はしたいと思ってたのですけどね。

　赤星　糸原は何でも何とかできるから、あまり気を使わなくて走れたと思う。

　近本　良いスタートだけ走ろうと思ってました。中野になると新人で左打者で引っ張りがうまい。でも、逆方向はあまり強くないとなれば、ランナーが一塁にいた方が引っ張れるじゃないですか。そういうのもあって、あまり走らなくなりましたね。

　赤星　オレが見てて中野が下位から2番に上がってきたときに、近本が自重しはじめた。それが結果的に一、三塁という形になって。

　近本　また中野が盗塁して二、三塁になる。僕はそっちの方を選択しました。別に走ってアウトになる確率もあるし、ゲッツーがない。でも、中野が一塁の方が、中野もマルテで走りやすいでしょうし、マルテも打ちやすい。僕はそっちの方が良いかなというのを選びましたね、という後付けの理由です（笑い）。

　赤星　ハハハハ。でも、それは見てて思ったよ。普通なら中野が来たときにイケイケで近本が走ってもおかしくないんだけど、中野のバッティングを生かすために、自重しているのは見て取れた。たぶん、考えてるんだろうな、と。実際どう？走る選手が増えた。

　近本　代走でも走れる人が増えてきたから、よりしゃべりやすいですね。ピッチャーがこうだから、誰が中継ぎに入って来た、とか。抑えのとき、クセがなくなって、こういう形になってるとか。練習中もだし、ベンチ裏でもできるようになった。その中でも“きょう、中野どうする？”みたいな話はよくしましたね。

　赤星　熊谷とか植田とか走れる人間がそろってきて、みんな同じように準備はしてると思うから、いろんな意見を話せるのは、強みだよね。