中国紙、海自の「Japan Navy」呼称を批判 2018年の日韓レーダー照射時にも使用
ただし、この報道は中国側が公開した音声や説明に基づくものだ。グローバル・タイムズは、記事とともにSNSのX(旧ツイッター)で無線交信の音声ファイルを公開したが、その音声だけでは無線交信全体の内容や前後のやり取りは確認できない。防衛省もこの件について公式な説明はしておらず、中国側が公開した内容だけで全体像を判断することはできない。
一方で、海自が英語で「Japan Navy」と名乗ること自体は、今回が初めてではない。2018年12月の日韓レーダー照射問題で防衛省が公開した無線交信でも、海自のP-1哨戒機は韓国海軍艦艇に対して「This is Japan Navy」と呼びかけていた。防衛省は当時、海自の正式な英語名「Japan Maritime Self-Defense Force」は無線では長く聞き取りにくいため、外国の艦艇などとの交信では、相手に伝わりやすい「Japan Navy」を用いる運用としていると説明していた。また、海自のパイロットが航空管制官と交信する際のコールサイン(呼び出し符号)にも「ジャパンネイビー(JN)」を使うことが、国土交通省の航空保安業務処理規程に定められている。
海自OBからもXで「今更、何を言い出すやら 昔から外国艦への呼び掛けで使用されている」などと中国側の主張に反発する声も上がっている。
今回の背景には、沖ノ鳥島周辺海域をめぐる日中の対立がある。日本側は、中国海軍艦艇が沖ノ鳥島南西の日本の排他的経済水域(EEZ)内で射撃訓練を行ったと発表した。日本政府は沖ノ鳥島を国際法上の島と位置付け、周辺海域にはEEZが認められるとの立場を維持している。一方、中国側は、沖ノ鳥島は国連海洋法条約上の「島」ではなく、周辺海域にEEZは認められないと主張している。
「Japan Navy」という呼称は、正式名称ではなく、無線で相手に聞き取りやすくするための実務上の表現として長年使われてきたものだ。それにもかかわらず、中国側があえて問題視した背景には、日本の防衛力強化や安全保障政策への批判を強める対外宣伝(プロパガンダ)という側面もあるとみられる。今回の中国紙の報道は、沖ノ鳥島周辺の海洋権益や安全保障をめぐる日中対立だけでなく、自衛隊を軍隊と位置付けるのかどうかという憲法上の論点にも、改めて目を向けさせるものとなった。
■関連ソース
Global Times @globaltimesnews
最近、日本船舶および航空機が、通常の訓練任務を実施中の#中国海軍編隊を挑発し、嫌がらせを行いました。
グローバル・タイムズは、#日本自衛隊が自らを「日本海軍」と称する独占音声録音を取得しました。
これに対し、中国海軍任務群は断固たる立場を取り、いわゆる「日本海軍」という誤ったレトリックが日本国憲法に違反しているとして、日本を正しました。
午後5:27 · 2026年7月30日
https://twitter.com/globaltimesnews/status/2082744995195572226
高橋浩祐 米外交・安全保障専門誌「ディプロマット」東京特派員 7/31(金) 10:5
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b668dab4516693c4a71d4064033f143d95c14f5c