あわせて読みたい
韓国の就職“地獄”を脱出、日本で働くことを選ぶ新卒の若者たち「日本は天国、韓国には戻れない」
取材で見えてきたのは“異国で働く苦労”ではない。韓国に比べて「のんびりしている」という日本企業の“ぬるい労働環境”だった——
韓国の若者が日本で働きたい理由
労働政策研究・研修機構によると、日本で働く韓国人労働者は’14年の3万7262人から、’24年には7万5003人に増加。この10年間で約2倍になっている。
(略)
日本は新人にとって天国。韓国では2年働いて昇給50円
新卒にまで“経験”を求めるのは、先進的なIT業界に限った話ではない。
ホテル業界を志し、大学を休学して福岡で正社員として働いていたチェさん(仮名・24歳)は「父親の反対を押し切って来日を決めた」という。韓国でのキャリアアップを見据え、日本企業で経験を積むことが一番の目的だった。
「父は世代的に日本のことをあまりよく思っていませんが、母は『若いうちにいろんな経験をしたほうがいい』と応援してくれました。韓国から近いことから、日本で就職を考える人は珍しくなく、大学には日本語能力検定(JLPT)の最高難易度『N1』を突破している学生もたくさんいますよ。
それに新人として働くならば、お金も日本のほうがいいんです。’23年に韓国で正社員として働いたとき、給料は時給換算すると1000円以下でしたが、日本では1500円。韓国は2年働いても50円しか昇給しなかったので『日本って最高!』って感じです」
チェさんもまた、日本の職場では「ぬるさ」を実感したという。
「日本は仕事のスピードがゆっくりだし、優しい人ばかり。韓国でミスしたときは、一日中怒られていましたね。
ただ、個人で成果を出したいと思ったときに、どうしても日本は“ぬるさ”や“非効率さ”を感じてしまうことはあります。仕事ぶりに対しては『大丈夫』としか言われないし、もう少しフィードバックがほしいくらいです」
(略)
韓国人材にとって日本は“パラダイス”ではない
続々と来日してくる韓国人材は、日本人材を圧迫するのだろうか。
日韓関係を取材するライターの安宿緑氏は、「一部の業界に限られるのではないか」と補足する。
「ITやゲームといった『日本語が完璧でなくても戦える分野』や、ホテルや化粧品のような『韓国語が武器になる分野』では流入が進みます。
韓国の大学生は、並行して専門学校に通って異なるスキルをつけることも珍しくなく、軒並み高スペックで向上心が強い。日本企業からしても魅力的に映るでしょう。韓国人材が熾烈すぎる競争社会から離れ、日本企業に目を向けるのは自然な流れだと思います」
ただ、「日本は楽に稼げる国」という認識で日本に過度な期待を寄せる韓国人材について、安氏は懐疑的な態度を示す。
「近年は、円安の影響で日本で働く経済的メリットが著しく低下しています。
かつてのような『日本企業から欧米企業へのステップアップ』というルートもほぼ存在せず、日本語のコスパの悪さに気づく人が現れるのは時間の問題でしょう」
また、日本で韓国人を受け入れているメンタルクリニックには、想像とのギャップに苦しむ患者が後を絶たないという。
「日本企業特有の“空気を読む文化”や“ことなかれ主義”に適応できなかった韓国人は『自分だけが頑張っている』と孤立し、メンタルを崩して帰国するケースもあります。
来日者が増えれば、同じ割合で“去る人”も増えていくでしょうね」
“ぬるさ”だけに惹かれて日本にたどり着いたとしても、そこは“ぬるい地獄”かもしれない。
<取材・文/松浦聡美>
https://news.yahoo.co.jp/articles/b040ee1ae992cdf6c2bdd2e5005d988701bae438?page=1




