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【半島情勢】 金正恩が韓国の「犬肉禁止」に激怒か ミサイル発射は〝裏切り〟の代償
韓国政府は4日午前、北朝鮮との間の通信が再開したと発表した。北朝鮮は米韓合同軍事演習に反発して8月に通信を遮断しており、復旧は約2か月ぶり。韓国政府は通信再開を南北対話につなげたい考えだが、金正恩朝鮮労働党総書記は先月29日に通信再開を表明する一方、韓国が自身の軍備増強は抑止力の確保と正当化しながら北朝鮮のミサイル開発などを非難する「二重基準」を、敵視政策とともにやめるよう要求している。
北朝鮮は9月に入ってから、弾道ミサイルなどを発射しながら、米韓に対し同様の主張を強めている。28日には今月5発目となる短距離ミサイルを発射したが、これについて意外な理由がささやかれている。
韓国の文在寅大統領は9月27日、金富謙首相との会談で「もう犬の食用禁止を慎重に検討する時が来たのではないか」との見解を示し、大統領府報道官が発表した。これが金正恩氏を激怒させたという説だ。
「犬肉は朝鮮民族の伝統食。その法規制を示唆した文大統領に“国際的な空気に流されるな”と警鐘を鳴らすためのミサイル発射ではないかと言われています。伝統食を軽んずるなという、北からの忠告かも。ちなみに文大統領は愛犬家で複数の犬を飼っていて、うち1匹は3年前に金総書記から贈られた犬だ」とは、民間の北朝鮮研究者。
ソウル五輪を開催した1988年ごろから韓国では、国内外の動物愛護団体に「犬肉食文化を規制すべきだ」と言われ、延々と賛否が議論され、若者の多くは犬肉食の習慣がない。とはいえ、中高年男性には犬鍋「補身湯(ポシンタン)」が根強い人気だ。
一方の北朝鮮でも、犬肉は「甘肉」と表現し、滋養強壮に効く高級食材として取り扱われる。朝鮮中央テレビの料理番組が取り上げ、レシピ本もあり、補身湯だけでなく多様なメニューがある。愛玩動物としての犬と、食用の家畜犬は区別されていて、この伝統食を疑問視する人民はいない。
実は昨年、正恩氏は「ペットを飼うのはブルジョアだ」として国民にペット飼育を禁じ、韓国メディアは「平壌中の犬が、補身湯を出す店に売り払われた」と報じた。北朝鮮としては、同じ民族の韓国が世界の目を気にして、伝統の犬肉食を捨てるのは許せないということだろうか。