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日鉄のUSスチール買収阻止は対中競争と日米強化に逆行…米有識者「安保リスクない」
全米鉄鋼労働組合(USW)が計画に反対し、「史上最も親労組の大統領」を自認するバイデン氏は対米外国投資委員会(CFIUS)の勧告を待って買収禁止命令を下す方針とみられる。CFIUSは日鉄買収が米国内の重要事業を支える鉄鋼供給に悪影響を及ぼす「安全保障上の懸念がある」と伝えたとされる。
これに対し、米シンクタンク、ハドソン研究所のケネス・ワインスタイン日本部長は取材に「安保上のリスクはない」と指摘。「日鉄による投資でUSスチールはより強い経済プレーヤーとなり、米国はより効果的に中国と競争することが可能となる」と訴えた。
米国の鉄鋼業は中国などとの価格競争によって衰退した。中国は世界鉄鋼生産の5割超を支配。米国は4%にとどまる。
同研究所のウィリアム・ジョー日本副部長は「鉄鋼は重要な国家資源」とする一方、「実際に国防総省は米国生産の鉄鋼の3%しか使用していない」とのデータを挙げ、「安保上の懸念との主張は政治的動機に基づくものだ」と強調した。
ジョー副部長はまた、「中国は国際市場を支配して外国が中国に依存する状況を作るため、意図的に過剰生産を続ける」と指摘。「習近平政権下の中国は法の支配に基づく秩序に従って行動したいとは思わない。日米はこのことを共に理解するからこそ緊密に協力する必要がある」と訴えた。
日鉄の計画はUSスチールを149億ドル(約2・1兆円)で買収し先端技術導入で国内生産能力と供給網を強化、既存生産拠点に27億ドルを投資する。ジョー氏は日鉄を含む日本の対米投資は、中国の挑戦に対処するため深化してきた「過去10年の日米関係の偉業」に沿うものだとも語る。
チャーリー・デント元下院議員(共和党)は米紙ウォールストリート・ジャーナルに寄稿し「米国は軍事、経済、文化上の深い絆を日本と共有し、日本企業には米国に責任ある投資を行ってきた実績がある」と指摘。安保上の懸念との論拠は「時代遅れの発想で、信頼された同盟国と協力する戦略的利益を無視する」と再考を求めた。
バイデン氏の最終判断は大統領選以降となる見通しだが、任期終了までに阻止に動けば自らの外交レガシー(遺産)に禍根を残す可能性もある。
産経新聞 2024/9/18 09:02
https://www.sankei.com/article/20240918-2J5VQOQZIZM3RDFQBSYJVPTVNM/