あわせて読みたい
【道上尚史】 「親韓派ほど韓国から離れてしまった」~日本外交官が苦言「日本が韓国に失望した」理由
日本の現役外交官の中でも、最も韓国をよく知る道上尚史・日中韓三国協力事務局(TCS)前事務局長(63)が、韓国の総合雑誌『月刊中央』の2021年9月17日発売の最新号に掲載された長文のインタビュー記事で韓国に苦言を呈し注目されている。『月刊中央』は大手紙『中央日報』系列の子会社が発行している韓国を代表する月刊誌だ。
■目の前の目標ばかり追求し周りが見えない韓国
(中略:元記事参照)
■嫌韓は日本の偏見や優越感でなったのではない
道上氏は今回のインタビューで、最近の日本における反韓・嫌韓的な世論の雰囲気を伝え、韓国に一考を促している。その際、道上氏の父親は息子の仕事柄、韓国に親近感を抱いていたが「もうあの国はいい、友達になれない国だとわかった」と言い出していることを紹介しながらこう指摘している。
「平均的な日本人の心が韓国から離れてしまった。現在は韓国への失望と“距離置き”の状況だ。これは一時的な現象ではなく、構造的変化と見なければいけない。韓国に対する偏見や優越感でそうなったのではない。昔に比べ、日本人の韓国への知識は大幅に増えている。韓国をリスペクトしていた人ほど失望が深いともいえる」
最後に、日韓関係回復に向けて助言を求められた道上氏は、まず最も関係が順調だったといわれる金大中政権(1998~2003年)の時を振り返り「日本を理性的、建設的に見て感謝すべきは感謝し、韓国の国益における日本の重要性を深く理解する指導者が登場した、今後の日韓は信頼と協力の関係になるだろうと期待したけれども、最近の韓国はそこから大きく後退したように見える」と述べたうえで次のように語った。
「コロナ禍が落ち着き、ビジネスマンや学生が再び自由に往来できることを切に期待しているが、ただお互い客観的に、少し余裕のある気持ちで相手を見、国と国との約束や礼儀を守る関係になることを願っている。以前は問題が生じれば韓国が日本に憤慨し批判する場面が多かったが、最近はその基本構図が変わった。韓国はまずこの点を冷静に直視していただきたい。“われわれは日本のことをよく知っている、日本は韓国を知らない”という固定観念からは何も生まれないだろう」
道上氏は現役の外交官ながら著書やインタビュー、寄稿文、講演など公開的な舞台でも精力的に“対外発信”をしてきたことで知られる。日本では『日本外交官韓国奮闘記』(文春新書)や『日本エリートはズレている』(角川新書)などの著作があり、韓国でも自著を出版している。
■韓国政権内の「視野の狭い仲間内の考え」
(中略:元記事参照)
道上氏も韓国に対し「リスペクトしていた人ほど深く失望」している1人だろうが、今後とも日本外交の対韓言動が萎縮してもらっては困る。経験豊富な知韓派として「リスペクトしつつ、言うべきことはちゃんという」という姿勢は維持してほしい。
黒田 勝弘 : 産経新聞ソウル駐在客員論説委員、神田外語大学客員教授