あわせて読みたい
【パヨクマスコミ】「撮り鉄」の共産党議員の書類送検は「狙い打ち」か? 中村格・警察庁長官を直撃
◆鉄道撮影で1秒横断
東京・JR新橋駅から高崎線で埼玉県の熊谷駅に向かい、秩父鉄道を乗り継ぎ、2時間余り。長瀞町の樋口駅に着いた。単線の線路と並行し、北側に国道140号が通る。南側は木々に覆われ、遠くに山々が連なる。列車はあまり通らず、秋の虫の声が響く。秋晴れだった21日。思わずハイキングをしたくなった。
山添さんのツイッターなどによると、昨年11月3日、この近くで勝手踏切を渡った。鉄道を撮影するために訪れ、「水路に渡し板がかけられていた箇所」を通って線路を横断した。その時間は1秒ほどだった。
駅から線路沿いの農道を西に向かって200メートルほど歩くと、線路に向け「渡し板」が置かれていた。その先にも、同様の渡し板があった。山添さんの現場かどうか確定できないが、確かに渡し板はあった。
ここで線路を横切ると、そこには畑がある。「渡ったらダメだと今回の件で初めて知った。これを渡って警察沙汰になるのはかわいそう」。その畑で農作業をしていた女性(74)は語る。
女性の家は、鉄道ができる前からここに土地を持っていた。「渡れないと畑に行けなくて困る。警察にも踏切をつくるよう言ってるけど対応してくれない」と打ち明けた。
◆「撮り鉄」人気で問題発生
このように住民が生活のために使う「勝手踏切」は、秩父鉄道が2020年に調査したところ、18カ所あった。地元の人だけでなく、電車撮影の愛好家、いわゆる「撮り鉄」も勝手踏切を便利に使ってしまい、問題を複雑にしている。
秩父鉄道は埼玉県北部を東西に37駅約72キロを駆け抜ける。秩父の山を見渡し、沿線は自然豊か。そしてSLも走り、撮り鉄には人気。勝手踏切の近くは線路と畑などを仕切る柵や塀がなく、撮影に適しているようだ。
そして、大勢が詰めかけると問題が起きる。
秩父鉄道運輸部の担当者は「撮影する人が近隣の田畑に入って苦情が来たり、線路に近づいて列車が急ブレーキをかけたりしたことがある。進入禁止の看板を立てたり、警察にも見回りをお願いしている」と説明する。
駅の近所の自営業女性(61)は「多いときで1カ所に30、40人ほどがいるときがある。狭い道路に車を止められ、迷惑したこともある」と訴える。
線路反対側に畑を持つ野口進さん(91)も「カメラを設置する撮り鉄に畑の大豆を踏み倒されたことがあった。事故が起きたら大変で、命の危険もある」と苦り切る。とはいえ、その対策で勝手踏切を閉鎖されては困る。「線路を渡れないのは不便で難しい」
◆埼玉県警幹部「話せないが…摘発は多い」
この日も貨物列車を撮影しようとカメラを構える人がいた。岡山県の会社員男性(52)は「迷惑にならないよう気を付けてはいる。地元の人が渡った時も摘発するのか。警察は注意するだけでいいのでは」と語る。
なぜ山添さんは書類送検されたのだろうか。埼玉県警幹部は「山添さんの件は話せない。ただ撮り鉄が線路内に入ることは社会問題化しており、パトロールはしている。今回の現場付近では、撮り鉄の摘発件数は多い」とだけ説明した。
◆勝手踏切、全国に1万7千カ所
国土交通省によると、2019年度、踏切は全国で3万3004カ所。1960年の7万1070カ所から半減した。ちなみに、踏切には自動遮断機が設置された「第1種」から踏切警標だけが設置されている「第4種」まで4タイプある。事故件数は年間200件超にもなる。
いずれのタイプでもなく、正規の踏切にカウントされないのが、勝手踏切だ。近隣住民らが使い、日常的な生活路になっていった場所も多い。どれぐらいあるのだろうか。国交省の担当者は「勝手踏切には明確な定義がなく、鉄道事業者も踏切と認めていない。詳細な数字はお答えしかねる」と渋い。その割に、国会では説明している。
国交省は鉄道事業者に任意で調査するよう求め、今年1月時点の数字をまとめた。衆議院国土交通委員会で質問した立憲民主党の津村啓介議員によると、モノレールしかない沖縄県を除く46都道府県に1万7066カ所の勝手踏切があった。同様の質問をした16年の1万9000カ所に比べてやや減った。
東京新聞
2021年9月22日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/132323/