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【台湾】約9500億円のミサイル予算を確保へ 対中抑止
「海空戦力提昇計画採購特別条例」が同日、行政院を通過した。今後、議会承認のため立法院(国会)に送られる。議会では与党・民主進歩党(民進党)の議席が過半を大幅に上回っており、承認は確実だ。対艦や対空ミサイルなどの量産に充てられる。法案は2022年から5年間が対象。
台湾は現在、射程600キロメートルの中距離ミサイル「雄風2E」などを配備しているが数は少なく、大半は同40~200キロメートルの短距離ミサイルだ。中国への抑止力には足りず、特別予算の編成で中距離ミサイルの配備も急ぎたい考えだ。
蘇貞昌・行政院長(首相)は同日開いた閣議で「中国軍機の台湾への威嚇は止まず、しかも悪化している。我々も台湾を守る決意だけでなく(対抗する)準備をしなければならない」と述べた。
台湾は兵器の近代化を進めている。射程が1000キロメートル以上の中長距離ミサイル「雲峰」や潜水艦などの開発を急ぐほか、米国に対しても新型兵器の売却を求めている。
トランプ前米政権下では、米国が長年、二の足を踏んでいた戦闘機「F16」の新型機計66機の売却が承認された。台湾は特別予算を組み、20年から7年間で総額2472億台湾ドル(約1兆円)を計上することを決めた。今回のミサイル関連の特別予算はこのときと並ぶ大型の予算編成となる。
この特別予算とは別に、行政院は8月末に22年の防衛費を過去最大の総額4717億台湾ドル(約1兆8600億円)とする予算案を閣議決定している。
日本経済新聞 2021年9月16日 15:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM164P90W1A910C2000000/