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J1初昇格で首位を快走している町田だが、FW藤尾翔太がPKを蹴る前に行っている「ボールへの水かけ」が物議を醸している。
3カ月前、5月19日の東京V戦でPKを獲得した藤尾が蹴る前のボールに水をかけたことが話題になった。6月30日のガンバ大阪戦でも藤尾はPKから決勝点のゴールを決めたが、この時はキックの前にボールを持ってゴール横の給水ボトルを拾い上げると、ガンバ大阪の選手にボールをはたかれた。ボールへの水かけを阻止するためだった。
そして、直近の8月17日に行われたジュビロ磐田戦。3点リードの後半、藤尾のシュートが磐田DFハッサン・ヒルのハンドを誘発し、PKを獲得。藤尾はボール全体に給水ボトルの水をたっぷり掛け、町田サポーターから大歓声が起きた。だが、高崎航地主審は濡れたボールの使用を認めず、交換した新しいボールをペナルティースポットに置いた。藤尾や町田の選手たちが抗議したが認められず、試合を再開。藤尾は新しいボールをゴールの右隅に決め、4-0で快勝した。
■「反則ではないが警告対象の可能性」
サッカー雑誌の編集者は、「ルール上はボールに水を掛けてはいけないという規定がないため、反則行為には当たらない」としながらも、「そもそも給水ボトルは選手たちが試合中に飲水をする目的で用意されたものです。ボールに掛けることは想定されていません。スポーツマンシップに反する行為とみなされて、警告対象になっても不思議ではない。実際に国際試合で同じ行為をしたら非常に危険です。中東の試合では審判の心証を損ねて、一発レッドになっても不思議ではない。誤解を生まないためにも控えたほうが良いと思います」と指摘する。
■「GKのセービング感覚が変わる」
ボールに水を掛ける行為を他クラブはどう感じるのか。J2クラブのGKコーチはこう語る。
「キーパーの選手たちと話題になりましたが『嫌だよね』と。ボールを蹴った時の水しぶきは気にならないですが、藤尾選手の映像を見ると給水ボトルからドバドバかけている。水を含んだボールは芝生を滑るボールの勢いが加速しますし、キーパーはセービングの感覚が変わる。蹴るほうも感覚が変わって嫌じゃないかと思うんですけどね」
Jリーグを取材するスポーツ紙記者は、「過去にもFK、CK、PKでボールに水を掛けていた選手がいました。でも、その選手の場合は大量にかけるわけではなく、昔から続けていたルーティンだったのであまり騒がれなかったですね。藤尾選手の水かけが問題視されているのは、町田に完全移籍した今年からやり始めたからという側面があると思います。以前に所属していたクラブで、ボールに水を掛けてPKを蹴った姿を見たことがない。点を取る確率を高めるために取り入れたのかもしれませんが、これだけ批判の声が多くなると続けるのが難しくなるのでは。将来を嘱望される選手だけに、イメージダウンにつながるのがもったいない」と懸念を口にする。
藤尾は首位に立つ町田に不可欠な点取り屋だ。セレッソ大阪では出場機会に恵まれなかったが、J2クラブにレンタル移籍を重ねることで力をつけていく。21年に水戸でリーグ戦22試合出場して8得点、22年は徳島で30試合出場、10得点をマークした。昨年は町田にレンタル移籍で33試合出場し、8得点を奪う活躍でJ2初優勝J1初昇格に大きく貢献した。
身長184センチからジャンプ力を生かした高い打点のヘディングが大きな武器で、足元の技術も優れている。運動量も豊富で得点を取る引き出しが多いのが魅力だ。守備面でも貢献度が高い。今季は23試合で9得点をマーク。U-23日本代表のメンバーで出場した今年7月のパリ五輪では、グループリーグ初戦のパラグアイ戦に後半28分から出場して2得点をマーク。チームは準々決勝でスペインに0-3で敗れたが、海外のクラブチームに存在を強烈にアピールした。(以下ソースで