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【アフガニスタン】タリバン、抵抗勢力の拠点パンジシール渓谷で民間人20人以上を殺害…BBCが証拠入手
パンジシール州の土ぼこりが舞う道端から撮影された映像では、武装した男性1人がタリバン戦闘員に囲まれている。銃声が響き、男性は地面に崩れ落ちた。
殺された男性が軍人なのかは不明だ。戦闘服を着ていたが、この地域では多くの人が身に着けている。映像ではそばにいた人が、男性は民間人だと主張した。
BBCは、こうした死者が、パンジシール州で少なくとも20人に上っていることを確認した。
その1人で、アブダル・サミ氏と呼ばれた男性は、商店主で2人の子どもの父親だった。
現地の情報提供者らによると、この男性はタリバンが進攻してきた時、「私はただの貧しい商店主で、戦争とは無関係だ」と言って、避難しなかったという。
ところが男性は、抵抗勢力の兵士たちに携帯電話のSIMカードを売ったとして拘束され、罪に問われた。数日後に、男性の遺体がその自宅近くに置き去りにされた。遺体を見た人たちによると、拷問を受けた形跡が残っていたという。
タリバンは先月、国内で権力を掌握。パンジシール渓谷がある地域だけが、抵抗を続けた。
同渓谷は長年、アフガニスタンにおける抵抗勢力の中心地となっている。北部連盟の故アフマド・シャー・マスード司令官が殺害される前には、この地域を拠点とした勢力が旧ソヴィエト連邦やタリバンを撃退した。山々が渓谷を囲む地形が、陥落を難しくしている。
今年8月にタリバンが再び権力を握ると、マスード氏の息子アフマド氏が抵抗勢力を率いた。しかしタリバンは先週、勝利を宣言。パンジシールでタリバンの旗を掲揚する映像を公開した。
ただ、抵抗勢力は戦闘を続けると表明している。アフマド・マスード氏は、タリバンに対する「全国的な反乱」を呼びかけている。
タリバンが復権したことで、パンジシール州やその他の地域で、何が起こるのかに注目が集まっている。
タリバンはパンジシール渓谷に入った際、住民に対し、普段どおりの生活を続けるよう呼びかけた。
広報担当のマラヴィ・アブダラ・ラハマニ氏は、「みんな外に出て、日々の活動をしたらいい」と話した。
「商店主は自分の店に行っていい。農家は自分の農場に行っていい。私たちの役割は、皆とその生活、家族を守ることだ」
こうした呼びかけにもかかわらず、かつてはにぎわっていた市場に人の姿がなくなっていることが、現地の映像から見て取れる。人々は避難へと動いており、岩だらけの山々の足もとを通る道路には、長い車列ができている。
食料と医薬品の不足も心配されている。
タリバンは民間人は標的にしていないと主張している。しかしこれまでにも、少数派ハザラに対する集団殺害や、警察官殺害などが報じられている。今回のパンジシール渓谷における殺害は、タリバンの約束が現実には守られていないことを、新たに示している。
「こうした報道は、私たちがアフガニスタン全域で確認しているパターンと合致しそうだ」と、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのパトリシア・グロスマン氏は話した。
「7月から8月にかけてタリバンがカブールに進攻した時、似たような報告があった。私たちは、元治安組織職員や元政府スタッフ、民間人らが、報復のため即決処刑で殺された事案を複数確認した。今回のケースもかなり同じパターンと思える」
9/14(火) 10:34配信 ヤフーニュース(BBC)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20210914-58553915-bbc-int