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甲子園2部制、初日の決着は「午後9時半」過ぎ… 熱中症対策で今大会から導入
甲子園2部制、初日の決着は午後9時半過ぎ…選手は戸惑い「こんな時間まで練習したこともなかった」
甲子園球場で開幕した夏の全国高校野球選手権大会で7日、昼間の暑い時間帯を避ける朝夕2部制が今大会から始まった。開幕からの3日間に限って実施される。日本高校野球連盟などはこの期間に、様々な角度から検討を重ねて課題を洗い出す意向だ。
導入初日は、午後0時34分に第1試合が終わると、「午後の部のチケットをお持ちの方もご退場いただきますようお願いします」との場内放送が流れ、内外野に詰めかけた観衆2万9000人が約20分かけて全員退場、同1時10分頃には閉門された。
読売新聞が三塁側アルプス席中段で計測した気温は、第1試合終了時点で39・5度。
第2試合開始の午後4時は39度とほぼ変わらず、第3試合が始まった同6時52分でも32・3度と、厳しい暑さに変わりはなかった。
第3試合の岐阜城北(岐阜)―智弁学園(奈良)戦は、開会式終了から約9時間後にプレーボール。長い待ち時間に智弁学園は一度宿舎に戻った。
試合は延長タイブレイクに入ったこともあり同9時36分に終了、知花琉綺亜(るきあ)主将は「寮は午後10時消灯。こんな時間まで練習したこともなかった。休憩して気持ちが切れた」と未体験の試合に苦労した様子だった。
同校応援団は、奈良県五條市の学校までバスで約2時間かけて帰る。過去の経験を生かし、途中、大阪や和歌山も含め20~30か所の降車場所を設け、保護者にも迎えにきてもらい深夜の帰宅に対応する予定。応援団責任者の片山公昭教頭(59)は、「第4試合の経験はあるが、それと比べても遅い」と話した。
第3試合を観戦した大阪府交野市の会社員(40)は「とても涼しく、選手と観客の熱中症対策になっていると感じた」と歓迎。
一方、20年来の甲子園ファンで、全試合を観戦した名古屋市の会社員(39)は「一度球場を出ることで、観戦の熱気が冷めてしまう部分もあるのでは」と語った。
今夏の2部制は1日3試合の日に限って実施する。主催する日本高校野球連盟などはこの日の全試合終了後、「観客の入れ替えがスムーズにできるか、熱中症対策にどの程度の効果があるかみていきたい」と検証を続けていくとした。