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韓国型次期潜水艦は原潜に決定…いまや政治的決断だけが残った
2020年11月10日に進水した張保皐IIIバッチ-I2号艦「安武」。韓国は300トン級の張保皐IIIバッチI潜水艦を独自に設計して建造し韓国型原潜開発能力を育てた。[写真 大宇造船海洋]
韓国型原子力潜水艦が徐々に姿を現している。今年初めに原潜の作戦要求性能(ROC)が確定した。事業の最大の山場である燃料問題でも進展を見せている。今年が過ぎる前に韓国型原潜関連の公式発表が出てきそうだ。
防衛事業庁は1-3月期に張保皐(チャン・ボゴ)IIIバッチIIIのROCを決めた。ROCは兵器の性能範囲を決める段階だ。バッチは同じ種類で建造される艦艇のグループで、ローマ数字は性能改良順序だ。
◇弾道ミサイル10発の発射可能
張保皐IIIバッチIIIのROCによると、4000トン級原子力潜水艦として開発する計画だ。実際の重量は自重である軽荷トン数4000トンを大きく超え、貨物や人員をすべて乗せた満載トン数は5000トン以上になるものとみられる。また、10発ほどの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載する。
張保皐IIIバッチI(3000トン)とバッチII(3600トン)はディーゼル・電気推進の在来式潜水艦だ。非大気依存推進システム(AIP)を備え、潜航時間が一般の潜水艦より長いが、原潜ほどではない。
北朝鮮や周辺国を相手にするには速いスピードで長時間作戦を遂行しなければならないため、張保皐IIIバッチIIIの推進方式は原子力が在来式より良いという判断が下されたという説明だ。
SLBMを搭載した原潜だが核兵器で武装しないため、張保皐IIIバッチIIIは戦略型原潜(SSBN)ではなく攻撃型原潜(SSN)に分類される。
昨年8月の2021~25年国防中期計画発表当時、国防部関係者は「バッチIIIは4000トン級。推進方式を現段階で話すのは適切でない」とだけ明らかにしていた。
関連事情をよく知る韓国政府消息筋は「文在寅政権で最も重要な兵器導入事業は軽空母と原潜。軽空母はうまく進んでいるが、原潜は敏感な事案のため水面下で進められている。昨年からうまく進んでおり現政権で締めくくれそうだ」と打ち明けた。
◇「文在寅政権で締めくくれる」
張保皐IIIバッチIIIの概略的な設計方向も描かれたという。ティアドロップ型船体とX型ラダー設計を採択する可能性が大きい。
ティアドロップ型船体は船尾が比較的とがっており、船尾へ向かうほど狭くなる形の船体を意味する。
こうした形の船体を持つ潜水艦は水中で抵抗をあまり受けず、スピードが速く騒音が小さい。米国海軍の攻撃原潜であるLA級とバージニア級がティアドロップ型の船体を持つ。
X型ラダーは機動性が良く、浅い海で有利だ。フランスの攻撃原潜であるシュフラン級がX型ラダーを採択した。韓国海軍が持つ張保皐I(209級、1200トン)、張保皐II(214級、1800トン)のラダーは+字形だ。
別の韓国政府消息筋は「全般的に米国のロサンゼルス級・バージニア級とフランスのシュフラン級の長所だけ取り入れる方向で作られるだろう」と話した。
海軍は張保皐IIIバッチIの最初の潜水艦である「島山安昌浩」から6発のSLBMを運用している。このSLBMは陸軍の短距離弾道ミサイル(SRBM)で最大射程距離500キロメートルの「玄武2B」を改良したものだ。張保皐IIIバッチIIIは玄武2Bよりも大きく、重く、射程距離が長い玄武4の潜水艦型が搭載される可能性が大きい。