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映画「白頭山大噴火」が描いた危機 韓国人は北朝鮮の核の脅しには楽観的?
映画「白頭山大噴火」(C)2019 CJ ENM CORPORATION, DEXTER STUDIOS & DEXTER PICTURES ALL RIGHTS RESERVED
韓国には南北統一省があるが、私はこれまで一度も本気で北朝鮮との統一を望んでいる韓国人に会ったことがない。皆、戦争はしたくない。だが、このまま統一せず、国交正常化したほうがいいという意見だった。
理由は聞くまでもない。あまりに開きすぎた経済格差がネックだ。もしも今、北朝鮮が崩壊し、北から多くの難民がなだれ込んできたら、韓国は一体どうなるか。多くの韓国人が危惧しているのだ。
27日から日本で公開される韓国映画「白頭山大噴火」は、その可能性がゼロでないことを感じさせる。映画では北朝鮮と中国の国境にそびえる白頭山(ペクトゥサン)の噴火により、北朝鮮が無政府状態に陥る。この噴火により朝鮮半島で大地震が起き、韓国でも街中のビルが倒壊。火災が起こり、ダムも決壊する。これ以上ないぐらいの惨事に見舞われ、人々は我先にと逃げ惑うのだ。
次に起こるべく大噴火を止める手段として、韓国の特殊チームが北朝鮮の核施設に潜入。白頭山の地下奥深くで核兵器の利用を画策する。
奇想天外なストーリーに思えるが、白頭山の大噴火は映画でなくとも実際に起こり得るという。今から1000年以上前に噴火しており、再び噴火しようものなら世界最大規模になるともいわれる。そうなった場合、日本にも火山灰が到達する可能性が高く、農作物はもちろん、広範囲で甚大な被害を被るだろう。
映画で大惨事を目の当たりにし、2013年の記憶が蘇った。北朝鮮が韓国への核攻撃をほのめかしたのだ。朴槿惠(パク・クネ)政権下の当時、北朝鮮は「韓国にいる外国人は国外退去せよ」と呼びかけ、「朝鮮半島は核戦争前夜に向かっている」と警告。これにより韓国のみならず、日本や米国にも緊張が走った。
この頃、仕事で韓国を訪れたが、ソウル便の機内はガラガラ。到着後に空港から市内に向かうバスも1人で貸し切り状態だった。多くの日本人や中国人が韓国への入国を取りやめたからだ。ところが韓国人はいたって冷静で、心配しているそぶりはなかった。
韓国情報サイトの男性編集長は「なんといっても同胞だからね。もし本当に攻撃を仕掛けるなら先に日本にミサイルを撃つはず」と話していた。
別の韓国人男性も言う。
「北朝鮮が本気で韓国を攻撃するはずがない。そんな兆候があれば、サムスンの会長や副会長らがとっくに出国しているだろう」
韓国人にとって財閥の動きはメディアの報道よりも確度の高い情報のようだ。
(児玉愛子/韓国コラムニスト)
日刊ゲンダイ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/293951