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【偽ブドウ】韓国に流出「ルビーロマン」 石川県が韓国当局に名称登録取り消し申請
【ソウル=木下大資】石川県から流出したとみられる高級ブドウ「ルビーロマン」が韓国で流通している問題で、同国内の生産・販売の前提になっているルビーロマンの「品種名称登録」について、県が当局に登録の取り消しを求めたことが分かった。県は韓国特許庁に「Ruby Roman」の商標登録を出願中だが、品種名称が登録されていることが壁になっており、今回の措置をとった。
品種登録などを所管する韓国国立種子院の当局者によると、最近、石川県の代理人から品種名称の取り消しを求める申請を受けた。今後、取り消しの可否を検討するという。
国立種子院のウェブサイトによると、ルビーロマンの品種名称は韓国内の種苗会社が出願して2021年に登録された。これを基に、現在までに31の農業者が申告して生産や販売を行っており、登録取り消しのハードルは高そうだ。
県は韓国でのルビーロマンの流通を制限しようと、22年10月に韓国特許庁に「Ruby Roman」の商標を出願した。だが商標法は、植物新品種保護法に基づき登録された品種名称と同一か、類似する商標は登録できないと規定。特許庁は今年1月、こうした「拒絶理由」を明記して県側に通知した。拒絶理由を解消できれば商標登録に道が開かれるため、県側は「品種名称登録を取り消す手続きを進めている」と主張して審査保留を申し入れ、特許庁は今月8日付でこれを受け入れた。
国際法上、品種自体の保護を受けるには最初に流通してから6年以内に各国で品種保護手続きを行う必要があるが、県はこの手続きを行わず、何らかの経路で韓国に持ち込まれたルビーロマンの栽培が広がるのを防げなかった経緯がある。県としては次善の策として商標が取得できれば、販売事業者らに対し、販売を差し止める法的措置を講じ、偽ブドウの流通を制限できるとみている。