あわせて読みたい
【中央日報コラム】K独裁の登場か=韓国
タンクで軍事クーデターを起こしたわけでもなく、厳格に選出された権力であり、政敵を拷問することもないのに、何が独裁なのかと思うかもしれない。独裁も進化する。いわゆる「新型独裁」だ。2018年6月、英時事週刊誌「エコノミスト」はグローバル金融危機(2008年)以降、民主主義指数が落ちている国は89カ国にのぼると伝えた(民主主義指数が上昇した国は27カ国)。そして具体的な民主主義の退行段階として(1)国家危機事態で国民は危機克服を約束した指導者に票を集める(国政壟断事態で文在寅大統領の当選)(2)このように執権した指導者は絶えず仮想の敵(積弊勢力と土着倭寇)を作り出して攻撃する(3)執権勢力に立ちふさがる独立的な機関(司法府・検察・監査院など)を束縛したり去勢したりする(4)メディアを掌握して世論を操作(言論懲罰法)したり選挙法改正(準連動型比例代表制および衛星政党)などで国民が執権勢力を追い出すのを難しくする。
鳥肌が立つほど、文在寅政権の出現以降の韓国社会の流れと一致する。特にエコノミストは第3段階までは表面上では民主主義国家の形態を帯びるが、第4段階になれば民主主義国家とはいえないと断定する。結局、民主党が30日に強行処理しようとする言論懲罰法はK-独裁「軟性ファシズム」の完結版だ。
世間ではすでに「ドンミョドゥンダ」(独裁+入り込む)という言葉が広まっている。独裁の弊害はいつのまにか我々の日常生活を蚕食している。代表的なのが家賃上限制など「賃貸借3法」だ。民主党の腕力で昨年7月末の施行後1年間に首都圏マンションの伝貰(チョンセ、家賃の代わりに入居時に高額を預ける賃貸方式)価格が26.7%上昇した。法施行直前の3年間の年平均上昇率3.1%に比べて8倍以上も上がった。同じ団地、同じ広さでも新規と更新の伝貰に倍の差が生じるなど奇怪な2重・3重伝貰価格も市場の混乱を深めている。それでも謝罪する民主党議員は誰もいない。
お金よりも致命的なのが互いに信頼できない点だ。伝貰は韓国だけの慣例だった。賃貸人は伝貰資金をテコに活用でき、賃借人は家賃を出さず伝貰金を担保に住居の満足度を高めた。ともにウィンウィンの共生だった。しかし価格上昇率を5%で抑えながら「相場よりあまりにも安い」「法を守れ」「それなら家主の私が入って暮らす」など、賃貸人と賃借人はもう敵になってしまった。民主党が現在進めている手術室の監視カメラ設置法(医療法改正案)の基本前提も「医師を信じることができないからカメラを設置しよう」だ。信頼の崩壊と監視の強化は独裁国家の断面だ。
(略)
米ハーバード大政治学科のスティーブン・レビツキー教授は「選出された独裁者は民主主義の『殻』を維持しながらその『中身』をえぐり取る。民主主義の転覆のために使う手段はすべて合法を装う」(『民主主義の死に方』)と説明した。検察改革という美名の下、検察の捜査力が破壊され、もう現政権の暴走を制御できる大韓民国の集団は100議席ほどの野党とメディアだけだ。残された牽制の一つの軸であるメディアをK-独裁は懲罰法で瓦解させようとする。立法・行政・司法に続いて第4府というメディアまでを抑え込めば、その後はフェイスブックなど個人SNSの統制だ。キム・オジュンのような親与メディアばかりが活発になる。検閲と報道統制が日常化した中国は我々にとって遠い未来ではない。後にコロナが収束してマスクを外しても、我々はずっと口を閉じることになるかもしれない。
チェ・ミンウ/政治エディター
中央日報
https://japanese.joins.com/JArticle/282328?servcode=100§code=120