電信柱やフェンス、歩道橋などにくくりつけられ、番組スタッフが探しただけでも、15カ所、21個も見つかった。地元住民は「シンプルに怖い、不気味」と心配し、他の住民たちも「何に使われているのかはっきりしない」「いい気持ちはしない」と語る。
この問題の解決に取り組む、中央区議会議員の高橋元気氏に話を聞いた。高橋区議は区民からキーボックスの目撃情報を集め、地図にまとめて公開しているが、「何の目的で設置されているのかわからない」という。東京五輪の選手村跡地である「晴海フラッグ」の付近でも、キーボックスは発見されている。
高橋区議は、一つ目の可能性として「不動産関係者が内見用に置いておくケース」を指摘する。「公道のガードレールなどは撤去対象になるが、10メートル動かして、マンションの敷地内に入れれば、行政は手が出せない」。不動産関係者は「敷地内のわかりやすいところにキーケースを置くのは、だいたい中国人のデベロッパーだ」と語る。
二つ目の可能性は、工事現場やリフォーム業者などが、使用する鍵を入れているパターンだ。ほかにもキーボックスを使う仕事として、清掃や介護、家事手伝いなど、管理者の不在時に建物に出入りする必要のある業者が考えられる。
三つ目の可能性は「違法民泊」だ。地元住民が「スーツケースを持った人をよく見る」と語るように、区の許可を取っていない民泊業者が使っている可能性はある。高橋区議は「周辺にホテルはあるが、泊まれる場所が少なく(民泊の)需要は高い」と説明する。
都内で民泊を営む関係者によると、中央区の民泊許可は、東京23区内のうち最難関で、特に湾岸エリアは許可が下りないという。
「民泊を経営する多くは投資目的。昼間に仕事をしているため、ゲストを迎える時間に必ずしも立ち会えるとは限らない。そういった場合にキーボックスをよく使う」「民泊利用者の多くは、海外からのバックパッカーで、同じ国の人が運営している方が、話が通じて安いため、予約しやすい。海外、特に中国人が、日本の物件を購入し、投資目的で運用している場合もある」(都内で民泊を営む関係者)
しかしながら、外国人オーナーが営む民泊の場合、条例を知らずに自国内で決済が完了していると、日本の法律で取り締まることは難しい。
「マンション敷地内にあれば、管理組合や自治会が私物として使っているかもしれないため、一概に悪いというわけではない。ただ、許可されていない区道や公道、ガードレールの下、電柱などにくくりつけるのはやめるよう、警告して撤去してもらうのが入口だろう」(中央区・高橋元気 区議会議員)