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中学校の上履きが“スリッパ”!? 災害時の避難が心配 疑問視する保護者に学校は「決まりだから」
■「災害時に靴に履き替える時間はない」
指定のスリッパは、つま先とかかとがむき出しの形状。長女は、小学校ではシューズを履いていたので「脱げやすくて安定しないのが気になる。冬も冷えそう」と慣れない様子だ。
呉市では2018年の西日本豪雨で甚大な被害が出た。防災士の資格を持つ女性は「災害時は靴に履き替える時間はない。スリッパは走りにくいし、かかとを踏まれて転ぶ危険性がある」との思いから学校に理由を聞いたという。回答は「決まりだから」。納得できない状況のまま不安を募らせている。
市教委に尋ねると、導入の経緯や実態を把握していなかった。そこで市内の中学校の生徒指導規程を調べると、ほとんどが「指定のスリッパを履くこと」などと記載していることが分かった。
広島市内で高校まで過ごした記者の上履きはシューズだった。災害時の避難を考えると、シューズのほうが安全な気もするが、呉市内ではどうしてスリッパを指定しているのだろうか。
■校内暴力が社会問題化した1980年代に増加
学生服や上履きを扱う「高橋KO堂」(呉市)によると、スリッパは1980年代に増えたという。呉市出身で室内環境学が専門の神戸女子大の砂本文彦教授(51)も市立中でスリッパを履いていた。「校内暴力が社会問題化し、厳しい校則に基づく指導で生徒を管理するようになった時期。かかとをつぶしたり廊下を走ったりしないように、との狙いがあったのでは」と見る。
同市内のある中学校長は「大まかなサイズ設定で成長期に買い替えなくて済む」などとメリットを話す。ただ、災害時の避難については「正直、不安だ」と漏らした。
全国的には、東日本大震災を契機に「脱スリッパ」の流れにあるようだ。学校の上履きを扱う「教育シューズ」(広島市西区)の担当者によると、震災でスリッパを履いていた生徒の足にガラスが刺さったり脱げたりする例が多かったため、シューズの導入が広がっており、福山市でも同様の動きがあったという。
呉市では宮原高がシューズに変更。義務教育学校の天応学園も動きやすさを重視し、昨年の開校時からシューズを採用している。ただ、同市と東広島市ではまだスリッパが多いという。砂本教授は「時代や状況に合わせて学校も柔軟に変化する必要がある。でないと『ただの変なルール』と受け取られかねません」と指摘する。
[中國新聞]
2024/6/18(火) 10:01
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e9599bdef3d2826a95f87101645f38d5091fd04