政府は5~7月を「利用促進集中取組月間」に位置付け、病院や薬局などに窓口でマイナ保険証への移行を呼びかけるよう依頼。利用者を増やした病院・薬局を対象に最大20万円の支援金までバラまいている。ゴリ押ししている張本人が「やりすぎ注意」とは、ツラの皮でも鍛えているのか?
政府は今年12月2日に現行の保険証を廃止する。「残してほしい」との声を無視して、マイナ保険証の普及の旗を振ってきたのが河野大臣だ。
11日の会見でも、「いま一番のネックが医療機関の窓口で(マイナ保険証ではなく)『(現行の)保険証をお持ちですか』というふうに声がかかってしまうところ」「そこ(声かけ)の是正に力を入れていただくようお願いしている」と言いたい放題だった。
河野大臣の「やりすぎ注意」発言に、現行の保険証の存続を訴える全国保険医団体連合会(保団連)事務局次長の本並省吾氏は「声かけの『台本』を作ってまで、利用促進に医療機関を協力させながら、現場に責任転嫁とは典型的なトカゲの尻尾切りです」と指摘。「問題があるなら声かけをやめるべきなのに、『是正』とは何様でしょうか」と語気を強めた。
患者の窓口負担増
政府のゴリ押しは異常な域に達している。今月1日の診療報酬改定ではマイナ保険証の利用を促す医療機関への診療報酬を増やした。病院に入る報酬は初診で80円増えた代わりに、患者の支払いは3割負担で24円増である。
河野大臣をはじめ、あまりに強引な政府のやり方に国民の我慢も限界だ。
厚労省は先月24日から今月23日まで、保険証廃止に伴う省令改正に関するパブリックコメントを募集。現行の保険証の規定が削除されるため、保団連が6日にXで〈保険証を残して! の声をぜひお送りください!〉と呼びかけたところ、11日時点でインプレッションが180万回を突破。〈意見送りました〉との声が相次いでいるのだ。
「異例の勢いで拡散しています。政府が既定路線にしている現行の保険証の廃止やマイナ保険証のゴリ押しへの不満・反発が一気に爆発している印象です」(本並省吾氏)
パブコメの件数や内容について厚労省に問い合わせたが、「集計中」(国民健康保険課)とのこと。保険証廃止を撤回しない限り、怒りの炎は大きくなるばかりだ。