全日はテレ朝、プライムもテレ朝がトップ
テレビ局の番組や局のメディア力のすう勢を推し量るのに、一番明確な指標が(世帯)視聴率。キー局における最新となる2024年3月期(2023年4月~2024年3月)における下期、そして通期の視聴率を確認する。
各種データはTBSホールディングス・決算説明会資料集ページ上で発表された「2023年度(2024年3月期)決算説明会」などからのもの。「キー局」と表現した場合、一般的にはNHKは含まれないが、よい機会でもあるので合わせてグラフに収める。
なお多くの局の発表資料ではここ数年の間に、HUT(世帯視聴率、Households Using Television)ではなくPUT(個人視聴率、Persons Using Television)を用いるようになったが、連続性を鑑み今記事では引き続きHUTを用いる。以後の記事内表記・グラフ内表記も断りがない限り「視聴率」は「世帯視聴率」を意味する。
↑ 主要局世帯視聴率(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区)(2024年3月期・下期)
↑ 主要局世帯視聴率(週ベース、ビデオリサーチ、関東地区)(2024年3月期・通期)
下期分は参考としてグラフ化にとどめ、通期の値で検証を行う。テレビ東京は区分の上では在京キー局の5局に収められているものの、他の4局と比べれば放送エリアの問題や放送内容の特異性の都合上、視聴率で他局と比べて低めの値が出るのは、ある意味やむを得ない。
その特異性を考慮し順位精査の際に除外すると、フジテレビが主要キー局では視聴率が一番低迷している。これは同年上期から変わらない。
数年前まではフジテレビとTBSの立ち位置が逆だったことを思い返せば、フジテレビの凋落ぶりがよく分かる。
視聴率が低迷しやすい昼間や深夜を除いていることから、全日と比べて高い視聴率が期待できるのがゴールデンタイム(19~22時)とプライムタイム(19~23時)。その時間帯で10%以上の値を示しているのは、皆無となっている。
今件で選択したテレビ局の中ではやや特異な動きを示しているのがNHK。他局と比べてゴールデンタイムとプライムタイムの差異が大きいのが目にとまる。ゴールデンタイムよりもプライムタイムの方が低いことから、22~23時の夜間における視聴率がとりわけ低く、平均値を下げてしまっているのが分かる。
もっともこれは番組構成上、民放ではこの時間帯に番組のクライマックスや人気の高い番組が入ることが多いのに対し、NHKではそうとは限らないこともあり、仕方がない話ではある。
ゴールデンタイムで視聴率動向を見るとトップはテレビ朝日、次いで日本テレビ、NHK、TBS、フジテレビの順。
プライムタイムで比較すると、トップにはテレビ朝日、次いで日本テレビ、NHK、TBS、フジテレビが収まることになる。
ゴールデンタイムとプライムタイムとの間で、各局の視聴率の順位に違いはない。上位陣が競り合っている程度。
他方、それぞれの局のゴールデンタイムとプライムタイムの視聴率を比較すると、普通ならばプライムタイムの方が低い値を示すはずなのだが(比較的夜中の時間帯の22~23時を含むため)、フジテレビはゴールデンタイムとプライムタイムで同じ値となっている。
さらにテレビ朝日では、ゴールデンタイムよりプライムタイムの方が高い値を示している。これは22時から23時の時間帯で放送される番組の人気が影響を与えていると見てよい。具体的にはテレビ朝日ならば同局の「報道ステーション」がプライムタイムの値をけん引しているのだろう。
各局の世代視聴率データ