谷口裁判長は判決理由で、娘が13歳の時から約4年半の長期にわたって性的虐待を繰り返し、裸体の撮影もしたとして「常習性が顕著。自らの性欲や支配欲を満たすために、(娘の)心身への悪影響を意に介さず避妊薬を服用させて避妊具を使用せずに性交するなど(娘の)肉体的、精神的苦痛の大きさは計り知れない」と断じた。娘が父親の虚言をいまも否定できず、被害を申告したことで家族の生活を壊したという罪悪感があると述べているとして「心身の健全な成長や将来への悪影響が懸念され、被害は重大かつ深刻」と指摘した。
5月7日に同地裁で開かれた初公判の冒頭陳述では検察官が「娘にご主人様と呼ばせていた」「性奴隷契約書を作成し、毎日のように性行為をした」などと指摘した。
初公判の被告人質問で父親は、「悪いことをした。やり始めた前後、(自分に)精神的に違う方面でストレスだった」「やめよう、やめようと思っていた」などと話した。裁判官からの「実の子に性奴隷を約束させる書面を書かせた抵抗感はなかったのか」という質問には「あの時は精神的におかしかった」と答えた。
初公判では娘が代理人を通じて意見陳述し、「家族がバラバラになってしまった。被害を訴えたことによって、家族に対して罪悪感を感じている。もう会いに来ないでほしい」と訴えた。
父親の氏名などは非公表。地裁は「一般的に被害者の特定を防ぐためなどで被告の氏名などを非公表とするが、今回、非公表にした理由は言えない」とした。【菊池真由】