ローリングさんは性自認よりも生物学的性を重視する立場から近年、トランスジェンダーをめぐる論争に巻き込まれ、映画「ハリー・ポッター」シリーズの出演俳優や活動家らから非難を浴びているが、自分はトランスフォビア(トランスジェンダー嫌悪)ではないと主張している。
29日付の英紙タイムズ(Times)に掲載されたさまざまなスコットランド人女性のエッセー集『The Women Who Wouldn’t Wheesht(黙らない女たち)』の抜粋の中で、ローリングさんはトランスジェンダーをめぐる発言をした理由を詳述。
「結局、私が発言したのは、そうしなければ一生恥じることになると思ったからだ。もしも後悔があるとすれば、もっと早く話さなかったことだ」と記した。
当初は近親者らから「発言しないよう懇願されていた」ため黙っていたが、結局は自分の見解を述べるようになったと説明している。
性自認をめぐる権利運動の多くに異議を唱えてきたローリングさんの見解は、一部のフェミニストに歓迎され、言論の自由や「キャンセル・カルチャー」をめぐる議論を広げるきっかけを作ったとも言われている。一方でトランスジェンダーの権利を擁護する活動家らからは強く批判されてきた。
この論争をめぐりローリングさんとの関係が断絶した中には、映画「ハリー・ポッター」シリーズで主演を務めた英俳優ダニエル・ラドクリフ(Daniel Radcliffe)さんもいる。ラドクリフさんは今月公開されたインタビューで、ローリング氏との確執は「本当に悲しい」と語った。
ローリングさんは前述のエッセー集で、2019年にSNSへの投稿がトランスフォビア的とみなされ解雇された女性を公然と擁護したところ、「悪質な」反発に遭ったとも述べている。「ネット上での厳しい非難や、相次ぐ殺害やレイプの脅迫を楽しい経験として語る者などいないだろう」
それでもローリングさんは、トランスジェンダーに批判的な立場を 「公」にしたことで、ネガティブなことよりもポジティブなことの方がはるかに多かったと言い添えている。