クジラの処理を担当した同局海務課は昨年3月初め、処理費を3774万円と試算したが、委託した市内の海運会社が提示した8625万円とは開きがあった。経営改革課長は3月3日に局長らに送ったメールで、交渉難航への懸念を示し、自らが調整すると説明。3月25日のメールでは、試算額を8000万円に引き上げるよう進言していたことが既に判明している。同局はこの間に段階的に増額し、3月27日の交渉時点では7000万円強だった。
読売新聞が入手したのは、市大阪港湾局が作成した27日の交渉記録で、海務課長(当時)と海運会社の担当者らのほか、本来の担当ではない経営改革課長も出席。同社の担当者は元市職員で、経営改革課長とは親しい間柄だった。
交渉では、同社の担当者が、作業に使った船の清掃費を計上するなどして、8000万円超に引き上げることを海務課長らに提案し、「一番(中身がわからない)ブラックボックスにできるのは清掃なので、うまく8000万(円)台へもっていったらいい」と主張。この際、経営改革課長は「『積まんことには話にならん』ということやね。8000万を超える数字を出さないと」と、後押しする発言をしていた。
海務課長は、清掃することは「聞いていない」と反論。引き上げるにしても局長の了承を得る必要があるとした。ところが、経営改革課長は「(局長には)諮らんでええって。この期に及んでそんなこと言ってる時間ないやろ」と述べた。海務課長は「のみ込めない数字になってきている」と説明したが、経営改革課長は「何しに来たん?みんなそんな暇ちゃうで」と8000万円超への引き上げを強く求めた。「お前ええ加減にせえよ」と、どう喝と受け取られかねない発言もあった。
海務課は最終的に、同社側が示した作業内容の一覧を根拠に清掃費の支払いを認めた。市の試算額は8063万円に引き上げられ、それに近い8019万円で昨年3月31日に同社との随意契約が結ばれた。
市監査委員は今年4月26日に公表した監査結果で、「業者の意向に寄り、積算価格について明確な根拠を整理・精査しないまま、交渉を進めようと誘導する行為」があったと指摘した。この指摘は、読売新聞が入手した交渉記録の内容と合致している。市監査委員は清掃費についても、「不適切な計上の疑いが残る」としていた。
海務課は読売新聞の取材に対し「交渉は適正に行われたが、具体的な内容は差し控えたい」と説明。当時の経営改革課長は「すでに別の局に異動しており、コメントできない」と話した。
■調査結果公表 来月中にも
クジラは「淀ちゃん」と呼ばれ、昨年1月13日、大阪市の淀川河口付近で死んでいるのが確認された。市大阪港湾局から死骸の海洋投棄を依頼された市内の海運会社は6日後、死骸を積み込んだ土砂運搬船を別の船で引っ張り、約120キロ離れた紀伊水道沖に沈めた。
同社との契約が適正だったかについては、横山英幸市長の指示を受けて市契約管財局が調査し、交渉記録についても確認を進めている。(以下ソース)
5/21(火) 11:03配信