LINEヤフーの株式はネイバーとソフトバンクがそれぞれ50%ずつ出資した中間持株会社「Aホールディングス」が約65%を保有している。取締役会の構成などから現在も経営はソフトバンクが主導しているが、株式売却で大株主の資格を失うと、ネイバーの影響力はかなり低下するのは避けられない。
LINE問題の発端は昨年11月だ。ネイバークラウドがサイバー攻撃でマルウェアに感染し、一部内部システムを共有していたLINEヤフーで51万件の個人情報流出が発生したことを受け、日本総務省が2回(3月5日、4月16日)にわたって行政指導を行った。日本政府はLINEヤフーが「ネイバーに強く依存していることが問題」だとし、「ネイバーとの資本関係の見直し」を含む経営体系の改善を求めた。ネイバーの株式をソフトバンクに渡せという意味だ。
実際、ネイバーとソフトバンクが株式売却交渉を進めていることが分かり、韓国の世論が急速に悪化した。個人情報流出で始まった問題が「セキュリティ対策」作りではなく「ネイバー追い出し」に切り替わったためだ。
韓国の世論悪化を受け、日本政府はつじつまの合わない釈明を出し始めた。「資本関係の見直し」が「株式売却の圧迫ではない」ということだ。これが偽りである証拠はあちこちにある。朝日新聞は9日、「総務省は、(行政指導の対象ではない)ソフトバンクにも資本関係の見直しを要請」と報道した。「週刊文春」の電子版の15日付報道には、総務省関係者が「ソフトバンクに対しても、口頭でLINEヤフーへの資本的関与を強めるよう要請」するなど、より直接的な内容が出てくる。
与党自民党も深くつながっている。自民党の甘利明経済安保推進本部長は「週刊文春」(4月25日号)のインタビューで「経営の支配権を日本企業(ソフトバンク)側に移すなどの、抜本的な改革が求められる」とし、「ソフトバンクがどれほど厳しくネイバー側に是正を迫ることができるかは、ソフトバンクの他の関連ビジネスガバナンスの信頼性まで問われてくる」と語った。持分問題が解決されなければ、ソフトバンクの他の事業も影響を受ける可能性があると警告したわけだ。日本政府や政界はLINEが日本を代表するメッセンジャーアプリであるだけに、持分までも完全に日本企業化させたい構えだ。
このような状況で日本政府が嘘をつく理由は、現在行われていることが日本の国内法や韓日投資協定などに照らし、法律的根拠の乏しいものであると分かっているからだ。韓国の科学技術情報通信部は「日本政府は行政指導に株式売却という表現がないと確認した」と述べたことで、日本の嘘に相槌を打ったも同然だ。法律違反が明確であれば、韓国政府は対応をしなければならず、韓日の外交・通商問題に飛び火するのは避けられない。
「韓日関係を揺さぶってはいけない」という尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の盲目的な信念のために、国民の健康権(福島原発汚染水)や歴史歪曲(強制動員被害者の賠償、佐渡鉱山世界遺産登録)、韓国企業の経営的判断(ネイバー)など、私たちが守らねばならない基本的な権利が損なわれている。