ひろゆき氏が過去に発言したこのフレーズは、相手よりも自分が優位に立っていることを示そうとする子どもたちの間でも流行した。
思想家で神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏は自身のXで「卒業生からメールがあって、小学校4年生の息子さんが『それってあなたの感想ですよね』に対抗できる言葉を日々ネットで探しているそうです。学校で言われてよっぽど悔しかったらしい。何か適切な『返し言葉』はありませんかと訊かれました。こんなご返事をしました」と言及。
「『これって個人の感想でしょ』というのは知性の価値を認めない反知性主義的言明です。どのような科学的仮説もある意味では『個人の感想』です。でも、専門家が学術的に厳密な仕方で導いた『仮説』は、素人がネットをぱらぱら見て思いついた『仮説』とでは「真実である程度の差」が天地ほどもある」と切り出した。
内田氏は続けて、「僕たちが本を読んだり、人の話を聴くのは『宇宙の真理』を会得するためではありません(それは凡人には無理)。そうではなくて、さまざまな『個人の感想』の間に歴然と存在する『真実含有量の差』をみきわめる知力を身につけるためです。この世の中で僕たちが出会う問題の99%は『程度の問題』です」「個人の感想にも、賢愚真偽良否の程度差というものがあります。その程度差をみきわめる能力を『知恵』と言います。あらゆる言明を『それって個人の感想でしょ』で切り捨てる人は『真実である蓋然性が高い言明』と、まるっきりの妄想や嘘の間の差に自分は関心がないと言っているに等しい」とポストを連投して説明した。
最後のポストで「『それって個人の感想でしょ』というのは『味噌も糞も』茶色いから『月もすっぽん』も丸いからという理屈で同一カテゴリーに括り込む横着もののやり口です。ですから『返し言葉』には『君のようなやり方を古い言葉では『糞味噌』というのだよ。意味は国語辞典で調べなさい』がいいかも知れません」と“返事”を記した。
ひろゆき氏は、内田氏の一連のポストに反応し、「『それは明らかではなく、あなたの感想ですよね』は、主観を事実のようにテレビで話した人を諌める為に言いました」と発言した当時の状況を説明。「『事実と感想を分けるべき』という当たり前の論理を否定する方が反知性主義ですよ」と反論した。