大越:1970年の万博ってご存じないと思いますけど、1970年の万博、そして今度の万博ではどういうゴールを目指すのか。万博についてお考えをちょっとお聞きしたのですけれども。
吉村:1970年万博のときは「国威発揚型」だったと思います。でも、現代はやはり国威発揚型ではなくて「社会課題解決型」の万博を目指すべきだと思うんです。紛争もあり戦争もあり、地域によっては感染症があったり、衛生が不十分であったり、食糧の問題があったり。国によって命のテーマも少しずつ変わると思うんですけど、そういった世界の課題を1つのところに集めて6カ月間共存する、僕はそこにすごく大きな意味があると思っているんです。
大越:集う目的が一緒であれば、万博会場の中はカオスでかまわないわけですか?
吉村:カオスであっていいと思うんです。多様な価値観がそこにギュッと集まってくる。
「社会課題解決型」「カオス」という言葉に対し、SNS上でツッコミが相次いだ。
《無茶苦茶でも、もうええやんってことかな? 収拾がつかなくなってきたのかな? メタンガスは爆発 水溜まりは湧いてくる 中止もできない、前にも進めん もうカオスて感じかな?》
《パビリオンは未完成だけど日よけの木製リングとか2億円のトイレ等のメインじゃない物は完成してる 軟弱地盤だから水たまりがあちこちに出来てる状態 カオスってこんな感じ?》
《「社会課題解決型」というワードと万博開催が100%相反してる。真顔で間抜けな事しか言えないのが恥ずかしい》
《「おまえらが課題やがな」と突っ込んだ市府民は私だけではなく、結構いたのではないかと思います》
《大阪万博自体が、物凄くデッカい社会課題の塊》
建設費の激増、会場の土壌汚染、雨による広大な水たまりなど、問題が次々に噴出する大阪万博だが、直近でもこんな “ガッカリ” エピソードが――。
4月21日、吉村氏は『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ系)に出演。万博の目玉のひとつになっている「空飛ぶクルマ」について、共演した橋下徹弁護士から「クルマがそのまま飛ぶんじゃないですよね。ドローンですよね?」と追及されると、「ドローンです」と認める発言をした。
また、22日には、乗り物で展示を楽しむ本格的な「ライド型」のパビリオンがゼロになる可能性を共同通信が報じた。万博会場の地盤が軟弱なため、レール設置や安全対策が必要なライド型はコスト面からも敬遠されているという。
海外パビリオンも当初の56施設から40施設に減少し、見どころは建設費350億円の巨大リングだけなのではないかと危惧されている。
SNSでも嘆息が広がる。
《ドンドンショボくなる》
《子供招待しといてそれはないよな やっぱりリングに金かけすぎやん》
《海外パビリオンも半減し乗り物も無くなるという、どんどん内容のないものとなっていっているのですが、本当に中止しませんか?》
万博協会が4月12日に公表したところでは、10日時点の入場券の販売枚数はおよそ130万枚。企業購入分700万枚はめどがついたとしているが、これを除けば、販売目標2300万枚の6%以下だ。
当初の1.4倍となった1160億円の運営費は、主に入場券の売り上げ収入でまかなう予定。販売目標が達成できず赤字となれば、国、経済界、大阪府・市で責任の押しつけあいは必至。まさに万博自体が解決すべき社会課題となっている。