平日は残業、土日も返上
「土日返上で働いて、同僚もバタバタ倒れている。私も体調を崩し気味で、正直疲れ切っている」
東京都内のある区役所で課税業務を担当する30代男性職員はため息をついた。平日は午後10時過ぎまで約15人の同僚と仕事場に残る日々。3月下旬からは週末の休みも取れていない。膨大な量の仕事を生み出している最大の原因が定額減税だという。
定額減税は、納税者本人と配偶者など扶養家族を対象に、1人あたり4万円を所得税などから差し引く制度で、2023年10月に岸田首相が物価高対策としてぶち上げた。制度設計を担う財務省も「直前に知らされた」(幹部)と驚くほどの急な打ち出しだったが、23年末に決まった24年度与党税制改正大綱に今年6月からの実施が盛り込まれた。内訳は所得税3万円と、地方財源の住民税1万円だ。夫婦と子ども2人の4人世帯の減税額は計16万円となる。
年収や働き方で異なる複雑な仕組み
住民税減税を担う自治体を悩ませているのは、年収や働き方などによって、減税の方法や対象者が変わる仕組みの複雑さだ。
自治体は毎年、前年の所…(以下有料版で, 残り1454文字)