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「0歳児のボノちゃん」演じた曙さん、会場から野次も迷い断ち切った天龍の言葉 夢のホーガン戦は幻に
曙さんは2003年のK-1転向後、格闘技戦を経て05年からプロレスに本格参入。そのスタートが、いきなりWWEだった。同年2月、さいたまSAでの来日公演でリングインして布石を作り、3月のヒューストン大会を経て、年間最大の祭典「レッスルマニア」(現地4月3日、ロサンゼルス)で巨漢・ビッグショー(213センチ、200キロ)と〝スモウマッチ〟で激突。リングのロープを外し、土俵を描いたシートを張って、マワシ着用で激突した。
記者はWWEの来日公演時、都内ホテルのエレベーターでビッグショーと2人きりになった経験がある。その体圧は相当なものだったが、曙さんは“リアル横綱”として豪快に相手の巨体を投げ飛ばした。
6年後、連載企画の取材で密着した都内のホテルで、曙さんはその試合と舞台裏を振り返った。
「(米マット界には)リキシとかヨコズナといった(相撲ギミックの)レスラーがいたけど、外国人はマワシの下にスパッツを履いていることが多かった。でも、ビッグショーは全く何も付けていなくて、相撲をリスペクトしていた。彼とはそれ以降、メールで何回もやり取りしましたよ。バックステージではスーパースターたちと交流した。ザ・ロック、スティーブ・オースチン、カート・アングル、ケイン…。バティスタには『相撲に興味があって、昔から見ていた』と言われてドキッとしたね」
さらにハルク・ホーガンからの〝ラブコール〟に言葉が弾んだ。「ホーガンさんに『アケボノ、東京ドームでやろうぜ!』って言われたよ。俺の〝親方〟武藤敬司さんから聞いたんだけど、ホーガンさんは90年代くらいまで来日していたから、巡業中には必ずテレビを探して大相撲中継を見てたらしい。実現するか分からないけど、ホーガンさんとやってみたいな」。現場でスーパースターたちにリスペクトされた曙さん。ハワイ出身者として「米本土」で認められる存在になったことに感無量だった。
ホーガンとの一騎打ちは幻に終わったが、新日本マットで元WWEヘビー級王者ブロック・レスナーが持つIWGP同級王座に挑戦するなど存在感を発揮した。一方で、「曙」という〝振り子〟は大きく揺れた。
07年8月18日、愛知県体育館。プロレスイベント「ハッスル」のリングに、曙さんはタレントのインリンが演じる「インリン様」と武藤の化身であるグレート・ムタの間に生まれた息子という設定の「モンスター・ボノ」として登場。衝撃の第一声は「バブ~ッ!」という赤ちゃん言葉だった。
「俺は『0歳児のボノちゃん』というキャラクターを演じたわけだけど、引き受ける時には迷いました。あそこまでやった背景には、いろんな葛藤があった。おしゃぶりしながら〝赤ん坊〟として出た時、初めてリングで『恥ずかしい』と思った。口では『バブ~ッ!!』とか言いながらね」