記事では妻から夫へのDV被害の具体例として、以下のようなものがあげられている。
■身体的暴力
菜箸で刺す/包丁を突きつける/腐った物を食べさせる
■精神的暴力
ゴキブリやムカデの死骸を置かれる/眠らせてもらえない
■経済的暴力
収入をすべて没収される/相談なく高額な商品を購入される
注目すべきは、調査した20人全員が「命の危険を感じた」と回答していることだ。実際、この報道に対し、Xでは
《そりゃ物理的な暴力でなくとも命は奪えるし、その気になれば刃物もあるし、(中略)冒頭にも食い物にこっそり薬物を入れられた話が出てくる》
《実際、ギャンブル依存症の夫に対し、妻がとんでもないDV妻になってしまったケースを知っている》
など、驚きとも共感ともいえる声が続々と寄せられている。
「DVは男性が加害者、女性が被害者というイメージですが、実は、男性が被害者となるDVが激増しているんです。
警察庁の『ストーカー事案、配偶者からの暴力事案等、児童虐待事案等への対応状況について』という資料によると、2023年、配偶者からのDV被害は8万8619件ありましたが、そのうち男性の被害は2万6175と、全体のおよそ3割を占めました。
男性のDV被害は、2014年には5971件でしたから、この10年で約4倍に増えていることになります。ちなみに2012年は2372件でしたから、この12年で見ると、なんと12倍になっているんです」(事件担当記者)
30年にわたってDV加害者・被害者のケアにあたり、のべ9000件のカウンセリングをしてきた日本家族再生センターの代表である味沢道明氏(70)に、妻から夫へのDVの実態を聞いた。
「バットで殴られた、刃物で切られた、椅子で殴られたといったケースも珍しくありません。女性の場合、体力的な問題から器物を使った暴力が目立ちますね。
ゴキブリの死骸を撒いたり、眠らせてもらえないという精神的な暴力もありますが、性的に相手をおとしめるのも精神的な暴力の範疇です。『あんた、弱いわね』とか『もう駄目なの?』と言われると、男は深く傷つきますからね。まさに地獄です」
男性のDV被害は以前からあったが、これまであまり表面化してこなかったのは、男性特有の意識の問題があるからだという。
「男は強くあれ、弱音を吐くのはみっともないという教育を受けているから、『妻に殴られた』なんて恥ずかしくて言えないわけです。最近、とくに若い男性のDV被害が少しずつ認知されてきたのは、そういう男らしさから解放されて、『助けてくれ』と言いやすくなったからでしょう。
問題は、女性に比べてDV被害を相談する受け皿がほとんどないことです。誰かに相談しても『それくらい我慢しろ』『情けない、しっかりしろ』などと言われてしまう。誰にも相談できずDVに耐えている男性はたくさんいると思います」
DV被害にあったら、恥ずかしいと考えず、SOSの声をあげよう。