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大谷とその関係者たちを騙し、不正に資金を利用していた水原氏。その手法が明らかになった。(C)Getty Images
去る4月11日に公表された訴状は世界を震撼させた。37ページにわたって説明された捜査内容の数々は、大谷翔平の銀行口座から資金を不正に違法賭博業者に送金していた水原一平容疑者の悪質行為を浮き彫りにした。
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同日に複数の司法当局から銀行詐欺容疑で訴追された水原容疑者。ギャンブルでの勝ち分を差し引いた純損失4070万ドル(約62億2710万円)にまで膨れ上がっていたという同氏の壮大な違法賭博行為は大きく波紋を広げた。
訴状内では、生々しい騒動のあらましが次々と明るみになった。そのなかでショッキングな内容として取り上げられたのが、大谷の口座からの送金手法だ。水原容疑者は巨額負債を胴元に返すために必要なセキュリティーを回避する方法として、大谷本人なりすまして銀行員を騙していたのである。
このスキャンダルを担当していた米連邦検察局の捜査員に取材を行ったという米メディア『The Athletic』のファビアン・アルダヤ記者によれば、2022年2月2日(現地時間)に水原容疑者は口座にアクセスしようと銀行へ電話。その際に資金を利用する“口実”として「車のローン(を返済する)」と嘘の供述を語っていたという。
ただ、数多の事件を解決してきた捜査員の“耳”までは騙せなかった。アルダヤ記者の取材に応じた捜査員は、大谷本人との“ある違い”を指摘している。
自ら「オオタニ」と名乗り、銀行のセキュリティー質問に回答。大谷の私的な情報も提供し、口座へのアクセスに成功していた水原容疑者だが、この時の銀行員との会話を捜査員は確認。「オオタニは当該通訳ほど流暢な英語を話さないが、電話の主の英語は本当に流暢だった」とし、声の主が水原容疑者である断定した。
口座用に登録された電話番号が水原容疑者のものだということが銀行の記録で判明。さらに口座にリンクしていた電子メールアドレスは匿名のGメールアカウントだったのだが、同容疑者のスマホから見つかったPayPalアカウントと紐づけられていたという。
次から次へと暴かれていく水原容疑者の裏切り行為の悪質さ。大谷本人と関係者たちも気づけなかった事実は、このスキャンダルの驚くべき根深さを物語っているとも言えそうだ。