ポイントは、2020年の知事選直前に駐日エジプト大使館のフェイスブックにアップされたカイロ大の声明が、小池都知事によって“偽装”されたか否かだ。小池氏の卒業を証明する旨が記された声明の真贋について、小島氏は疑義を呈している。学歴詐称疑惑で都議会が大荒れの中、小池都知事が小島氏に対応を相談したのは同年6月6日。小島氏が、卒業を証明する声明をカイロ大に出してもらうよう要請してはどうかと提案するや、わずか3日後の9日に突然、声明がアップされたからだ。
小島氏は、声明の書きぶりを巡って、小池都知事が複数の側近と相談していたことを示すメールを入手。それらを基に〈(小池都知事は)声明文を自ら作成し、疑惑を隠蔽しようとしたのです〉と告発している。
6月6日からの3日間、小池都知事は側近と何を相談していたのか。日刊ゲンダイは小池都知事が当時、側近に送ったとされる2通のメールを入手した。1通はエジプト大使館のフェイスブックにアップされた英文のカイロ大声明の画像だ。送信日時は6月8日の夜8時34分とある。カイロ大声明が公表されたのは9日午後2時過ぎ。公表の半日以上前に、声明は小池都知事の手元にあったことになる。
都議会では答弁拒否
もう1通は、6月8日夜9時20分に送られたもの。こんな文言が記されている。
〈明日の4時から 郷原と黒木亮が外国記者クラブで記者会見とのこと。その前に全部済ませます。〉
確かにメール送信の翌9日、郷原信郎弁護士と作家の黒木亮氏が外国特派員協会で「小池百合子東京都知事の学歴について」と題した会見を開いている。小池都知事は2人の会見で決定的なダメージを受ける前に声明発表に動いた可能性がある。
2通のメールは、上田令子都議(無所属)が日刊ゲンダイに提供。上田氏は22年5月、匿名の告発者からメールのコピーを受け取った。実は、上田氏は22年12月の都議会本会議で、カイロ大声明について、小池都知事に質問を直接ぶつけていた。
「卒業のエビデンスとなった声明文が、20年6月9日に突然公表されました。知事は、エジプト政府、カイロ大関係者等に作成依頼はされていませんよね。また、公表前に目にしたこともないですよね」
これに対し、都側は政策企画局長が答弁に立ち、正面から答えなかった。都知事本人は答弁を拒否した。
改めて上田本人に話を聞くと、こう話した。
「匿名の告発だったとはいえ、カイロ大声明を小池知事サイドが作成したとなると大問題です。確認すべきだと考え、都議会で質問しました。小池知事が答弁を避けたのは、後ろめたい思いがあったからではないか。改めて、声明公表に至った経緯を説明すべきです」
“女帝”は逃げずに説明責任を果たすべきだ。