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【あ然】韓国総選挙で与党惨敗、民主主義の悪い面が露呈、「長ネギ」が壊しかねない日米韓の協力体制
民主主義の悪い面が露呈した韓国総選挙
4月10日に韓国で行われた総選挙は、まさにこうした欠陥を露呈させた。韓国は周知のように大統領制で、2022年5月10日に就任した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領にとって、5年の任期の2年を経る時に行われた今回の総選挙(4年に一度)は、「中間選挙」と言えた。
国会の300議席を与野党で争う総選挙で、内訳は、小選挙区254議席、比例代表46議席である。結果は、尹錫悦大統領率いる与党「国民の力」が108議席、李在明(イ・ジェミョン)元京畿道知事率いる最大野党「共に民主党」が175議席、曺国(チョ・グク)元法務長官率いる第2野党「祖国革新党」が12議席、「改革新党」3議席、「新しい未来」1議席、「進歩党」1議席である。
野党陣営が3分の2近くの議席を得たことで、任期を約3年残す尹錫悦政権はレームダックに陥るだろうと、一部韓国メディアは伝えた。
大統領の勘違いをあげつらって選挙の争点化
今回の選挙戦を見ていて、一番驚いたのは「長ネギ事件」だった。3月18日、尹錫悦大統領が、ソウル市内のスーパーマーケットを視察した。歩いていくと、長ネギの束が積まれている特売コーナーがあった。そこには「875ウォン」(約98円)という値札が付いていた。
「これまで市場をたくさん見てきたが、長ネギが875ウォンなら、合理的な価格ではないか」
尹大統領がさりげなくつぶやいたこのひと言が、選挙全体を左右する大ごとになったのだ。実は尹大統領の前に積まれていたのは、あくまでも「特売品」だった。実際はこの3倍くらいの値段がする。それなのに、大統領は物価に無知だというわけだ。
「共に民主党」や「祖国革新党」などの野党の党首や候補者たちは、まるで鬼の首でも取ったかのように、長ネギを掲げたり、かぶっているヘルメットにくっつけたりして、大騒ぎを始めた。選挙戦終盤になると、選挙当日に長ネギを投票所に持ち込むことの是非を巡り、大論争となった(結局は禁止された)。
韓国がどんな選挙を行おうが、内政干渉するつもりは毛頭ない。だが、長ネギによって尹錫悦政権がレイムダック化すれば、それは日本を含む東アジア情勢に、大きな影響を及ぼすのだ。
「親日」に転換した韓国、「反日」に逆戻りか
もうすっかり忘れられているが、文在寅(ムン・ジェイン)前政権は、「北朝鮮ラブラブ政権」だった。同時に、日本に対しては「鬼の形相」だった。
私は「日韓9重苦時代」と呼んでいた。従軍慰安婦、徴用工、竹島(独島)、自衛隊へのレーダー照射、自衛隊の旭日旗掲揚、GSOMIA(日韓秘密軍事情報保護協定)、輸出規制、ALPS処理水、佐渡金山の世界遺産登録を巡って、日韓がことごとく対立したからだ。
日本に行かない、日本製品を買わないという「NO JAPAN運動」も、文在寅政権の主導で推し進めた。まさに「暗黒の日韓関係」だった。
それを尹錫悦政権は、完全にひっくり返した。いまや「最良の日韓関係」となり、岸田文雄首相と尹大統領の日韓首脳会談は、昨年は7回も開かれた。
国民レベルでも、昨年、韓国を訪問した外国人客は、日本人の232万人が最も多く、日本を訪問した外国人客は韓国人の696万人が最も多かった。日本人が「韓流」に夢中になり、韓国人が「日式」(日本料理)に夢中になる「晴れやかな時代」となった。
ところが、今回勝利した2人の立役者、李在明「共に民主党」代表と、曺国「祖国革新党」代表は、ゴリゴリの反日派である。今回の選挙戦でも、李代表は「親日が疑われる候補者たちを落選させて、われわれが独立国家であることを示そうではないか!」と叫んでいた。曺代表は「文在寅の盟友」であることを前面に立てていた。
いますぐに尹錫悦政権の外交政策が急転するとは思わない。だが野党2党は、「親日」→「反日」、「反北」→「親北」へと外交政策を変えるよう、尹政権に強い圧力をかけるだろう。かつ3年後の大統領選挙で、「文在寅の亡霊」が復活する可能性も高まってきた。
長ネギのせいで日米韓に亀裂?
現在、盤石な「日米韓」の連携にヒビが入れば、「中朝ロ」を喜ばせるばかりだ。そうした国際情勢の重要事を決めるのが、「長ネギ事件」とあっては、これが「民主主義の欠陥」でなくて何であろう?
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