「発達障がい」とはどのようなものなのか。
信州大学医学部で10年前から「こどもの心」を診療し、長野県内での中心的な役割を担う医師を取材しました。
(診察のやり取り)
「特に今心配なこととか?」
「心配なことは、なんだろう。でも最近は、昼間とか夜とか関係なく、落ちる時があるから、気持ちが。それが困るかな」
「落ちる時はどんなこと考える?」
「何も考えないっていうパターンか、もう本当に放心状態でぽけっとしてるか、あとはなんだろう。夜気持ち落ちる時は、本当に希死念慮出てくる時があるから」
【中略】
(診察のやり取り)
「正直、引きこもりやめれない。運動大嫌いなのも治んない。学校休みだから、引きこもりくらいいいじゃないかって思う」
「特に外で楽しいことなさそう?」
「まず外で遊ぼうという発想にならない」
現在抱える患者は200人ほど。
本田医師には心を開き、他愛もない会話を楽しむ子どもたちのほとんどが『発達障がい』と診断されています。
【中略】
『発達障がい』は、大きく3種類に分けられます。
臨機応変な対人関係が苦手、また、こだわりが強いという特性が顕著な、ASD=自閉スペクトラム症。
忘れ物が多いなどの不注意や、じっと座っていられないなどの多動性・衝動性がある、ADHD=注意欠如多動症。
知的な発達に遅れがないにもかかわらず、読み書き・算数のうちの一つ、もしくは複数が苦手という、LD=学習障がい。
【中略】
長野県の調査では、医師の診断や専門機関で発達障がいの判定を受けている児童生徒は、全体の6.82パーセント、人数にすると1万人を超えており、2003年の調査開始から毎年増加しています。
本田秀夫医師:
(治りますか?)「発達障がいの特徴を治すという目標を、どこに置くかっていう事でしょうけど、平均的な人と同じような考え方や振る舞い方を身に着けさせようとするのを治すと考えると、様々な弊害があることが近年指摘されていますね」
うちの子は育てにくいと、悩みながら『ふつう』を植え付けようとすると、『うつ』や『不登校』など、こころに二次障がいを伴う危険性があるといいます。